タタールスタン(読み)たたーるすたん(その他表記)Татарстан/Tatarstan

デジタル大辞泉 「タタールスタン」の意味・読み・例文・類語

タタールスタン(Tatarstan/Татарстан)

ロシア連邦に属する共和国の一。ボルガ川中流とその支流カマ川下流域にあり、首都カザン石油化学工業が盛ん。基幹民族タタール人だがロシア人も多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「タタールスタン」の意味・わかりやすい解説

タタールスタン
たたーるすたん
Татарстан/Tatarstan

ロシア連邦西部にあるタタール人の共和国。タターリアТатария/Tatariyaともよばれる。ソ連成立後の1920年にタタール自治ソビエト社会主義共和国Татарская АССР/Tatarskaya ASSRとして成立し、ソ連崩壊(1991年12月)後の1992年、ロシア連邦内の共和国となった。正称タタールスタン共和国Республика Татарстан/Respublika Tatarstan。面積6万8000平方キロメートル、人口378万4000(1999)。首都カザン。

 ボルガ川中流のボルガ・カマ川流域にある。西部にボルガ沿岸丘陵、東部ブグリマ・ベレベイ丘陵が走り、中部が平原をなしている。面積の約6分の1が森林で、混交林が多いが、南東部は森林ステップである。トルコ(チェルク)語群に属するタタール語を話すタタール人の国であるが、他地域に居住する人々が多く、この国に住むタタール人は人口の48.5%で、ほかにロシア人(43.3%)、チュバシ人、モルドビン人、ウドムルト人(あわせて3.7%)、その他の民族が多数居住している(1989)。住民の大部分は都市に居住し、西部と東部に都市が多い。

 もっとも重要な産業は石油部門である。共和国は、1930年代より開発されたボルガ・ウラル油田(第二バクー油田)の主要な中心地で、ソ連時代、一時は第一の石油産出高を誇っていた。工業部門では石油採取と関連する機械、化学(合成ゴム、プラスチック、肥料)のほか、木材加工、食品工業が発展している。また自動車(トラック)工業が急速に発展した。農業部門では穀作(ライ麦小麦)、ジャガイモ栽培、畜産が中心で、毛皮獣の飼育も盛んである。交通は東西を結ぶハイウェー南北を結ぶ鉄道を中心に、ボルガ、カマ、ベラヤ、ブヤトカ各河川の水運も発達している。

[中村泰三・小俣利男]

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百科事典マイペディア 「タタールスタン」の意味・わかりやすい解説

タタールスタン

ロシア連邦の一共和国で,ウラル山脈の西方,ボルガ川とカマ川の合流域を占め,面積6万8000km2。主都カザン。人口377万8500人(2010)中,イスラム系のタタール人が48%,ロシア人が43%。旧ソ連時代のタタール自治共和国(1920年成立)が1990年主権宣言を行い改称,1994年ロシア連邦と独自に国家権限分掌の条約を締結。豊かな石油資源があり,タタール語や民族文化の復興運動も盛ん。東隣のバシコルトスタンなどにもタタール人が多い。
→関連項目ウドムルトオルティン・ドーボグン・ドーモルドビアモルドビン

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