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スペインの画家。はじめはシュルレアリスムの一員として活躍したが,のちに自己宣伝癖と奇行が嫌われて運動から離れた。カタルニャのフィゲラスに生まれる。同地方の広漠とした風景は後年の画面に投影されている。マドリード美術学校で学び,1925年バルセロナで最初の個展を開く。29年パリで個展を開いて以来シュルレアリスムに参加。フロイトの精神分析理論を絵画にとりいれ,トロンプ・ルイユ(だまし絵)風の細密描写によって異常なイメージをあらわし,潜在的な欲望をあばきだすのが特徴。みずから〈妄想症的=批判的(パラノイアック・クリティック)活動〉と称して,幻覚を生じる精神錯乱的現象を冷静にとらえ,同一のものが多様に見えるようなイメージを精密に描く。ダリにとって絵画とは,〈一般的には具体的な非合理性と想像される世界を色彩を使って手がきした写真〉ということになる。絵画のほかにも一連の〈象徴機能のオブジェ〉や版画,宝石デザインなどがあり,美術学校時代の友人L.ブニュエル監督の映画《アンダルシアの犬》(1928)と《黄金時代》(1930)では脚本を担当。《非合理の征服》(1935)や《わが秘められた生涯》(1961)など著書も多い。代表作に《記憶の固執》(1931),《内乱の予感》(1936)などがある。50年に〈神秘宣言〉を発表してカトリックに改宗し,話題をまいた。
執筆者:岡田 隆彦
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1904~89
スペインの画家。キリコや立体主義の影響を受け,1928年パリに移ってピカソに近づき,幻覚的な画風をもって超現実主義の指導者となった。40~49年アメリカで映画などでも活躍した。
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出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…1928年製作。ともにスペイン生れのL.ブニュエルとS.ダリの合作で,ガルシア・ロルカらとともにマドリードの若い詩人・芸術家のグループに属していた2人が,お互いにみた〈もっとも狂気じみた〉夢の数々を脈絡なく語り合って,それをもとに1週間足らずでシナリオを書き上げ,〈徹底的にシュルレアリスムの中に入って〉(ブニュエル)作った〈自動記述〉的な映画。2巻(サイレント・スピードで24分,トーキー・スピードによるサウンド版17分)。…
…1930年製作のフランス映画。《アンダルシアの犬》(1929)とともにダリとブニュエルが共同でつくった画期的なアバンギャルド映画とみなされている作品で,クレジットタイトルにもダリの名はあるものの,実は〈ダリぬきのブニュエル映画〉である。フランスのもっとも初期のトーキーの1本。…
…ロシア,オランダの構成主義の,幾何学的構成物も見のがせない。シュルレアリスムのオブジェの導火線は,ジャコメッティが極度に不安定な,しばしば動く形態で,性的な欲望や不安を象徴したことにあり,それに触発されたダリは物体の日常的効用を最低限に制限して,詩の喚喩や隠喩のように無意識を細密に具象化する,〈象徴機能のオブジェ〉を提唱した。このような物体観は,迫真的に描かれた物体が現実にはありえない関係に配置されるダリ自身の絵画を含めて,映像のポエジーと神秘を著しく増幅させた。…
※「ダリ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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