チタン石(読み)チタンセキ(英語表記)titanite

デジタル大辞泉 「チタン石」の意味・読み・例文・類語

チタン‐せき【チタン石】

チタンカルシウムを含む珪酸塩鉱物くさび形または柱状結晶。さまざまな色がみられ、透明で美しいものは宝石とされる。くさび石チタナイトスフェーン

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「チタン石」の意味・わかりやすい解説

チタン石
ちたんせき
titanite

カルシウムとチタンを含む珪(けい)酸塩鉱物。普通はくさび形、まれに柱状の結晶を示す。くさび石ともいう。無色透明に近いものから黒色不透明のものまで色の変化が多い。各種火成岩結晶片岩片麻岩中に副成分鉱物として広く分布する。花崗(かこう)岩ペグマタイト中のものは、しばしばイットリウムを含み、イットロくさび石と称されることがある。英名化学組成から、くさび石spheneという名は「楔(くさび)」を意味するギリシア語にちなんで命名された。従来は両方の名称が使われていたが、チタン石のほうが先に命名されていたところから、国際鉱物学連合(IMA)は正式名をチタン石に統一した。

松原 聰]

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化学辞典 第2版 「チタン石」の解説

チタン石
チタンセキ
titanite, sphene

CaTi(SiO4)(O,OH,F).榍(せつ)石,あるいはくさび石ともよばれる.変成岩中に多く産出する.単斜晶系,空間群 C 2/c,格子定数 a0 = 0.656,b0 = 0.872,c0 = 0.744 nm.β = 119°43′.単位格子中に4個の基本組成を含む.へき開{110}.硬度5.5.密度3.45~3.55 g cm-3.CaをNa希土類元素,Mn,Srが置換し,TiのかわりにAl,Fe3+,Fe2+,Mg,Nbなどが入る.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「チタン石」の意味・わかりやすい解説

チタン石
チタンせき
titanite

CaTiO(SiO4) 。単斜晶系の鉱物。楔石ともいう。比重 3.5,硬度 5.5。常に微量の鉄 (III) ,アルミニウム,イットリウム,セリウム,ナトリウムなどを含み,そのため褐,黄,緑,黒色など雑多な色調を示す。{110}と{111}面の発達した楔状の結晶として産出することが多く,双晶もよくみられる。花崗岩質岩の副成分鉱物として産出するほか,変成岩中にもしばしばみられる。

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世界大百科事典(旧版)内のチタン石の言及

【チタン鉱物】より

…チタンは平均して大陸地殻中に0.9重量%含まれ,大陸地殻を構成している元素としては,O,Si,Al,Fe,Ca,Mg,Na,Kに次いで第9番目に位置するほど多量に含まれている。チタンは火成岩中ではFe‐Ti‐O系鉱物やチタン石titanite,spheneCaTiO(SiO4)(くさび石ともいう)として存在し,また,黒雲母,角セン石,輝石などの有色鉱物中にも含まれている。一般に塩基性の火成岩ほど多量のチタンを含んでいる。…

※「チタン石」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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