ツァラ(読み)つぁら(その他表記)Tristan Tzara

デジタル大辞泉 「ツァラ」の意味・読み・例文・類語

ツァラ(Tristan Tzara)

[1896~1963]フランス詩人ルーマニア生まれ。ダダイスム創始者一人。のち、シュールレアリスム運動に参加。作「アンチピリン氏の最初の天上の冒険」「反頭脳」など。

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精選版 日本国語大辞典 「ツァラ」の意味・読み・例文・類語

ツァラ

  1. ( Tristan Tzara トリスタン━ ) ルーマニア生まれの詩人。ダダイスムの創始者の一人。一九一六年の最初のダダ宣言以来、欧州各地でスキャンダラス示威運動を展開した。のち、シュールレアリスムに参加。代表作は「反頭脳」。(一八九六‐一九六三

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ツァラ」の意味・わかりやすい解説

ツァラ
つぁら
Tristan Tzara
(1896―1963)

ルーマニア出身のフランスの詩人。本名サミュエル・ロザンストックSamuel Rosenstock。モイネシュティに生まれる。早くからフランス象徴派の影響下に詩作を試み、ブクレシュティ高校の同窓生マルセル・ヤンコらとともに雑誌『象徴』を刊行。1914年にトリスタン・ツァラを名のり、第一次世界大戦勃発(ぼっぱつ)後スイスチューリヒに移る。16年、同地でフーゴー・バル、ハンス・リヒター、アルプ、リヒャルト・ヒュルゼンベックRichard Huelsenbeck(1892―1974)らとともにダダ運動を創始。以来この運動の指揮者として、飽くことなき否定の精神を体現し、国際的にその名を知られる。20年からパリに住み、3年間にわたってパリ・ダダの運動を展開。アンドレブルトン、ルイ・アラゴン、ポール・エリュアールらと共闘するが、やがて離反。シュルレアリスム運動の形成期には孤立する。だが30年代にはこの運動に加わり、数冊の重要な詩集発表。第二次大戦中は共産党員としてレジスタンス運動に加わるが、56年のハンガリー事件を機に離党した。ダダ時代の『アンチピリン氏の最初の天上冒険』(1916)や『ダダ宣言1918』Manifeste Dada 1918の著者としてばかりでなく、生涯にわたる清新な詩作、とくに『近似的人間』(1931)、『狼(おおかみ)の水飲み場』(1932)、『反頭脳』(1933)のような詩集の著者として、20世紀フランス文学史上にその名をとどめる資格をもつ。詩論やエッセイにも注目すべきものがある。

[巖谷國士]

『浜田明訳『ツァラ詩集』(1981・思潮社)』

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改訂新版 世界大百科事典 「ツァラ」の意味・わかりやすい解説

ツァラ
Tristan Tzara
生没年:1896-1963

ルーマニア出身のフランスの詩人。本名ローゼンシュトックSamuel Rosenstock。モイネシュティに生まれる。少年期よりフランス象徴派の影響下に詩作をはじめ,第1次世界大戦勃発後,両親とともに移住したスイスのチューリヒで,1916年バルヒュルゼンベックらとダダ運動を創始した。以来,徹底した否定の精神を体現しつつ,この運動の中心的存在となり,国際的にその名を知られた。20年にパリに出て,以来3年間,パリ・ダダの運動を展開し,ブルトン,アラゴンらと行動をともにするが,彼らによるシュルレアリスム運動の形成期には離反・孤立し,30年代以後に改めてシュルレアリスム運動に加わった。第2次世界大戦中は共産党員として抵抗運動に参加したが,56年のハンガリー事件を機に離党した。ダダ時代の《アンチピリン氏の天空冒険》(1916),《ダダ宣言1918》ばかりでなく,《近似的人間》(1931),《狼の水を飲むところ》(1932),《反頭脳》(1933)などの詩集によって,20世紀フランス詩の一頂点をかたちづくった。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ツァラ」の意味・わかりやすい解説

ツァラ
Tzara, Tristan

[生]1896.4.4. モイネスチ
[没]1963.12.25. パリ
ルーマニア生れのフランスの詩人。 1916年チューリヒでダダの運動を起し,『アンチピリヌ氏の最初の天上の冒険』 La Première Aventure céleste de M. Antipyrine (1916) ,『ダダ宣言 1918年』 Manifeste dada 1918 (18) などを発表。 19年パリに移り,ブルトンらと合流したが,22年袂を分った。スペイン内乱,対独レジスタンスに参加。初期の徹底的破壊の意欲は,31年の詩集『近似的人間』L'Homme approximatifから革命的ヒューマニズムに移行する。ほかに,詩集『25の詩篇』 Vingt-Cinq Poèmes (18) ,『アンチ頭脳』L'Antitête (33) ,『ひとり語る』 Parler seul (50) ,『内面』 La Face intérieure (53) 。

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百科事典マイペディア 「ツァラ」の意味・わかりやすい解説

ツァラ

ルーマニア生れのフランスの詩人。1916年チューリヒでダダ運動を始め《ダダ宣言1918》を発表。次いで1920年パリに移ってブルトンアラゴンらとパリ・ダダ運動の中心にいたが,やがて孤立し,シュルレアリスム運動とはしばらく距離を置いた。ダダ時代の徹底した否定精神と,《近似的人間》《反頭脳》などの詩集によって,20世紀フランス詩を代表する詩人の一人となった。

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世界大百科事典(旧版)内のツァラの言及

【ダダ】より

… 第1次大戦中,中立国スイスのチューリヒは亡命者のたまり場であった。1916年2月,逃亡兵の演出家バルと恋人の歌手エミー・ヘニングスは同地で,アルザス生れの画家アルプ,ルーマニアの詩人ツァラや画家ヤンコMarcel Janco(1895‐ )とともに〈キャバレー・ボルテールCabaret Voltaire〉を開催した。ベルリンの医者・詩人ヒュルゼンベックも加わり,小舞台と15~16卓だけのこの店で毎夜宣言,歌,騒音音楽,音声詩,同時詩,仮面舞踏などが演じられた。…

※「ツァラ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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