精選版 日本国語大辞典 「テスト」の意味・読み・例文・類語
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検査。能力・興味などの心理的特性の存否や程度を明らかにする目的で、一定の条件のもとで課題や作業を与え、その結果を所定の基準に照らして判定する組織的手続をいう。また、そこで用いられる問題集や器具をテストという。心理検査mental testという用語は1890年アメリカの心理学者J・M・キャッテルが初めて用いたものであるが、統計学ではテストが検定を意味するなど、種々の領域でテストという用語が広く用いられている。
[肥田野直]
心理テストは、いくつかの観点から分類される。(1)測定内容 知能検査、学力検査、適性検査、性格検査に大別され、学力検査は、いわゆる試験のことで、教育検査といわれ、そのほかは狭義の心理検査(心理テスト)とよばれる。また、知能・学力・適性の検査は最善を尽くして答える最大値測定を目的とし、性格検査は平常の行動の一つの見本、つまり典型値を調べることを目的としている。(2)被検査者数 検査者と被検査者が一対一となって実施するのが個人(個別)検査であり、同時に多数者を検査するのが集団(団体)検査である。(3)課題の提示および反応の方法 口問口答(口述検査)、口問筆答、印刷された質問に対する筆答(紙筆検査)、身体的動作による反応(動作検査)、器具の操作(器具検査)などの形式がある。そのほか、筆答のかわりにキーを押して反応する形式もある。(4)実施時間と問題の難易度 比較的やさしい問題を短時間に多数課するのが速度検査であり、難易度の異なる問題を課してどの程度の問題まで解答できるかをみるのが力量検査である。なお、個人検査では速度検査に二つの方法があり、制限時間内に完成した量を測定する時間制限法time limitのほかに、一定量の問題を完成するまでに要した時間を測定する作業制限法work limitがある。(5)構成 結果が一つの総合的指標として示されるテストを概観的テストといい、複数の分野あるいは内容ごとに下位検査が構成され、別々の指標が得られるものを分析的テストという。関連のある一群のテストを組み合わせて用いるときテスト・バッテリーという。(6)作成手続 標準化の手続を経て作成されたテストを標準検査といい、それ以外のテストを非公式検査という。教師が担任する学級に実施する教師作成(自作)検査は非公式検査の一種である。(7)得点解釈の準拠 テストの結果として得られる得点(素点)をノルムnormに準拠して解釈するテストを集団基準準拠テストとよび、具体的教育目標(クライテリオン)を達成した程度を解釈するテストを目標基準準拠テストとよぶ。また、個人ごとに相対的に高い点と低い点を比較できる独自性得点ipsative scoreを求めるテストもある。以上3種類のテストはそれぞれ相対評価、達成度(到達度)評価、個人内評価の手段とされる。
[肥田野直]
テスト素点は次の2種類の値に換算される。(1)その素点に対応する相当年齢または相当学年。たとえば、知能検査における知能年齢や、学力検査における教育年齢または相当学年がこれにあたる。また、これらの年齢と暦年齢との比に基づいて算出される知能指数や教育指数も換算値といえよう。(2)被検査者と同じ年齢の集団内での相対的位置を示す値。これには、パーセンタイル順位と標準得点とがある。標準得点には多くの種類があるが、平均50、標準偏差10となるもの(Z得点)をわが国では偏差値とよんでいる。
[肥田野直]
テストを作成し標準化するには次の手続が行われる。(1)検査目的の明確化と内容範囲の確定、(2)問題項目の抽出と具体化、(3)予備実験に基づく項目分析、(4)項目の編集、(5)被検査者の母集団から抽出された標本に対して実施した結果に基づくノルムなどの設定、(6)素点の換算表、テストの実施および採点の方法、結果の解釈の方法、テストの信頼性・妥当性の資料を掲載した手引書の作成。
[肥田野直]
標準テストはもちろん、非公式テストでも次の諸条件を検討しておくことが望ましい。(1)実施および採点手続が明確に定められていること。(2)得点を解釈する準拠が設定されていること。(3)客観性(検査者間または採点者間の一致度)が高いこと。(4)信頼性が高いこと、すなわち測定誤差が小さいこと。信頼性には次の4種類がある。再テスト信頼性(安定性ともいう)、平行形式信頼性(平行すなわち代替テスト間の一致度)、折半法信頼性(一つのテストを二分したときの部分得点間の一致度)、内部一貫性(テスト項目間の反応の一致度)。(5)妥当性が高いこと、すなわちテストが目的としているものを測定できること。妥当性には内容的妥当性、基準関連妥当性(併存的妥当性と予測的妥当性)、構成概念的妥当性がある。検査の種類によって、重視される妥当性は異なる。たとえば、知能検査や性格検査は併存的妥当性や構成概念的妥当性が重要であるが、学力検査は内容的妥当性や併存的妥当性が、適性検査は予測的妥当性が重視される。
[肥田野直]
課題に対して自由な反応を許すのは論文体テストや投影法テストであり、一定の方式で反応を求めるのが客観テストである。客観テストでも二者択一法(真偽法や諾否法)、多肢選択法、組合せ法、配列法などの再認形式テストは完全に客観的採点ができるが、単純再生法、完成法、訂正法などの再生形式テストの場合は採点者の主観性が介入する余地が残されている。
[肥田野直]
テストは計量心理学的検討課題のほかに社会的影響の問題がある。テストが社会的公正やプライバシーを侵害しないように、作成者・実施者・結果利用者の慎重な配慮が必要である。
[肥田野直]
『肥田野直編『テストI』(1972・東京大学出版会)』▽『池田央著『テストと測定』(1982・第一法規出版)』
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