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デスモスチルス Desmostylus

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

デスモスチルス
Desmostylus

哺乳類束柱目デスモスチルス科の代表的化石属。大きな頭と短いが頑丈な四肢をもつバクに似た親海性の動物。円柱を束ねたような歯を特徴とし,食性は草食と考えられる。四肢からみて,海岸近くで遊泳し,陸にも上がったとみられる。新第三紀中新世前期から鮮新世にかけて北太平洋沿岸地域に分布。アメリカ合衆国では Desmostylus hesperus が,日本では D. mirabilis など 3種のほか,近縁種の化石が知られている。(→束柱類

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デジタル大辞泉の解説

デスモスチルス(〈ラテン〉Desmostylus)

第三紀中新世に北太平洋沿岸地域にいた海生の化石哺乳類。体長約2.5メートル。大きな頭とがんじょうな四肢をもち、円柱を束ねたような形の臼歯(きゅうし)が特徴。草食性

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百科事典マイペディアの解説

デスモスチルス

第三紀中新世の化石哺乳(ほにゅう)類。体長約2m。頭骨は長く,左右各1本の切歯があり,鼻の位置は後退。胴は短く,四肢が非常に太い。短い鉛筆を束ねたような形の臼歯(きゅうし),4対の扁平な胸骨が独特。

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世界大百科事典 第2版の解説

デスモスチルス【Desmostylus】

絶滅した哺乳類の1属で,化石として日本列島(本州,北海道),サハリンカムチャツカカリフォルニアなど,北太平洋の沿岸地帯でのみ発見されている。円柱を束ねたような特異な形態の臼歯によって特徴づけられ,1888年にマーシュO.C.Marshがギリシア語の束(たば)という意味のデスモスdesmosと柱を意味するスチロスstylosとを合わせて学名とした。98年に日本の岐阜県瑞浪(みずなみ)市明世(あけよ)で頭骨の化石が発見され,1902年に吉原重康,岩崎重三によって記載,報告された。

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大辞林 第三版の解説

デスモスチルス【Desmostylus】

第三紀中新世に北太平洋地域に生存した海生・草食性の化石哺乳類。体長約2メートルで口に数本の蠟燭ろうそくを束ねたような歯をもっている。サハリンからほぼ完全な化石が発見されている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

デスモスチルス
ですもすちるす
desmostylid
[学]Desmostylus

化石でのみ知られる絶滅した哺乳(ほにゅう)動物の一グループ(目)、束柱類(そくちゅうるい)ともいう。1888年に最初に発見された歯の化石が、小さな円柱を束(たば)ねたような形をしていたので、ギリシア語の束ねるのデスモスdesmosと、柱のスチルstylとをあわせてデスモスチルスという学名がつけられた。
 化石は、北太平洋の両岸から知られていて、北米の西岸ではオレゴンからカリフォルニア、アジアの東岸ではサハリンから日本列島の北海道・本州の各地から発見されている。それらは第三紀の中新世前・中期(約2000万~1500万年前ごろ)の地層から出土している。
 サハリンと日本では全身の骨格が発掘されていて、カバのような胴体にワニのように横に張り出した太い四脚がつき、体長は3メートル、体重は200~300キログラムと推定されている。また、どのように歩行していたかという運動技能の復元もなされている。骨格復元は、長尾復元(1937)、亀井復元(1970)、犬塚復元(1984)などがある。動物分類では、束柱目というグループに含められ、ゾウの長鼻(ちょうび)目、ジュゴンなどの海牛(かいぎゅう)目、イワダヌキ(ハイラックス)の岩狸(いわだぬき)目や化石でのみ知られている重脚目のものに近縁とされている。
 デスモスチルスがいたころの日本列島は、現在とは違って、アジア大陸に連なっていた。デスモスチルスの化石骨といっしょにみつかる植物や貝の化石から、デスモスチルスは温暖な気候のもと、海岸地帯のマングローブ林で生活していたと考えられている。デスモスチルス類は、体の構造から陸上での動きは鈍く、水中での生活が主であったとされ、食物としては海藻(かいそう)説、植物説またはゴカイや貝類説がある。しかし歯の形態からは、いろいろな食物をすり潰(つぶ)して食べていたことが推定されている。
 デスモスチルスの仲間に、パレオパラドキシアPalaeoparadoxiaというものがあり、全身骨格は岐阜県瑞浪(みずなみ)市、岡山県津山市、アメリカのカリフォルニアで発掘されていて、それらの復元骨格がそれぞれの博物館で展示されている。デスモスチルスの先祖には、より古い漸新世後期(約2700万~2400万年前)の地層からのコルンワリウスCornwallius、ベヘモトプスBehemotopusが知られていて、さらに古い2900万年前のものとしては、北海道足寄(あしょろ)町で発見されたアショローアAshoroaが知られる。デスモスチルス類の系統進化の解明は犬塚則久によってされていて、それらの化石標本は、北海道の足寄動物化石博物館でまとまって展示されている。[亀井節夫]
『犬塚則久著『デスモスチルスの復元』(1984・海鳴社) ▽井尻正二・犬塚則久著『絶滅した日本の巨獣』(1989・築地書館) ▽木村方一著『太古の北海道――化石博物館の楽しみ』改定版(2007・北海道新聞社) ▽「特集・束柱類の進化」(『足寄動物化石博物館紀要』第1号所収・2000・足寄動物化石博物館)』

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世界大百科事典内のデスモスチルスの言及

【カイギュウ(海牛)】より

…陸上生活に適応した群は種々の哺乳類に進化し,四肢で歩く群となったと思われる。この中に長鼻目のゾウもおり,デスモスチルス群もいたと考えられる。デスモスチルスをカイギュウ目の1亜目と考える学者の根拠は,歯の形態がよく似ていることにある。…

※「デスモスチルス」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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