改訂新版 世界大百科事典 「デュラン」の意味・わかりやすい解説
デュラン
Charles Dullin
生没年:1885-1949
フランスの俳優,演出家。サボア山中に生まれ,1904年パリに出てオデオン座で初舞台を踏み,11年に芸術座で《カラマーゾフの兄弟》のスメルジャコフ役で認められ,13年ビュー・コロンビエ座に加わり,《守銭奴》を好演する。21年に独立して〈俳優のための新しい学校〉アトリエ座を組織し,本拠をモンマルトルの小劇場におく。39年までバロー,ビラールなど後の名優たちを育てながら,ギリシア劇からアシャールやサラクルーの新作まで数多くの作品をとり上げ,特に《人生は夢》《ボルポーネ》《リチャード3世》で土俗的な祭りの精神を失わない演出と貧弱な肉体を逆用した名演で成功する。40年末アトリエ座をバルサックに譲ってサラ・ベルナール座に招かれ,ドイツ軍占領下でサルトルの《蠅》を初演(1944)して話題をまくが,47年経営に行き詰まり,失意のうちに巡業先の南仏で病に倒れた。
執筆者:安堂 信也
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報