トウダイグサ科(読み)とうだいぐさか

日本大百科全書(ニッポニカ) 「トウダイグサ科」の意味・わかりやすい解説

トウダイグサ科
とうだいぐさか
[学] Euphorbiaceae

双子葉植物離弁花類。草、低木または高木。葉は単葉掌状複葉または羽状複葉で、多くは托葉(たくよう)があり、それはしばしば刺(とげ)や毛に変化する。乾燥地に生えるものはサボテン状で葉のないものもある。ヤマヒハツ亜科、カンコモドキ亜科、コミカンソウ亜科、ハズ亜科、トウダイグサ亜科に分けられる。花の構造が前4亜科とトウダイグサ亜科では、著しく異なる。4亜科の花は単生するか総状花序、円錐(えんすい)花序をつくり、雄花雌花の別がある。花は3~6枚の花被(かひ)があり、雄花ではそれに2本から多数の雄しべ、雌花では1本の雌しべと、ときに数個の仮雄蕊(かゆうずい)がある。トウダイグサ亜科は杯状花序とよばれる1個の花のようにみえる特殊な花序をつくる。杯状花序は総包葉が花被状となり、その中に多くの包葉と雄花があり中央に1個の雌花がある。雄花は普通1本の花柄と1本の雄しべからなり、雌花は1本の雌しべのみからなる。子房は3室で、各室1~2個の胚珠(はいしゅ)が下垂する。胚柄から伸びた突起が胚珠の珠孔を覆う。果実は普通3個の分果に分かれ、裂開して3個の種子を出すが、核果で裂開しないものもある。

 おもに熱帯亜熱帯に分布し、世界に300属5000種ほどある。有用植物が多く、観賞植物としてポインセチアクロトンキリンカクなど、薬用としてトウゴマ、ハズが知られ、アブラギリは油を、パラゴムノキはゴムをとるのに栽培され、キャッサバの根は熱帯の重要な食糧である。

[山崎 敬 2020年6月23日]

 APG分類でもトウダイグサ科とされるが、ヤマヒハツ、アカギ、コミカンソウの仲間はコミカンソウ科(ミカンソウ科)として分離された。また、ツゲモドキの仲間はツゲモドキ科として分けられた。トウダイグサ科は約250属6300種あるとされる。

[編集部 2020年6月23日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「トウダイグサ科」の意味・わかりやすい解説

トウダイグサ科
トウダイグサか
Euphorbiaceae

双子葉植物トウダイグサ目の1科。木本または草本で約 300属 5000~7000種以上があり,広く熱帯から温帯に分布する。多くは植物体に乳液をもち,傷つけると白い汁を出す。雄花と雌花に分れるが,普通は花弁がない。3室の上位子房をもつことも特徴の一つである。この科に入れられる植物は内容がかなり雑多であり,いくつもの科に分ける場合もある。日本産のものとしてはトウダイグサ属 Euphorbiaのほかシラキ属 Sapium,ニシキソウ属 Chamaesyce,ユズリハ属 Daphniphyllumなど約 21属 50~60種がある。

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