日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
ド・デューブ(Christian René de Duve)
どでゅーぶ
Christian René de Duve
(1917―2013)
ベルギーの生化学者。ベルギー人の両親が第一次世界大戦でイギリスに逃れ、ロンドン近郊のテムズ・ディットンで生まれた。1920年ベルギーに帰国。1941年ルーバン・カトリック大学医学部を卒業、第二次世界大戦後、短期間ノーベル医学研究所、ワシントン大学で研究生活を過ごし、1947年母校のルーバン・カトリック大学に戻り講師となった。1951年同大の教授に昇格、1962年から1988年までロックフェラー大学の教授を兼任した。
初期の研究は、インスリン作用のメカニズムの解明であった。研究の過程で、細胞を構成している物質を遠心分離法を用いて調べた結果、新しい細胞小器官(オルガネラ)を発見、1955年にその物質をリソゾームと命名した。リソゾームの働きについて研究を進め、その役割が細胞内の消化分解作用であることをみいだし、さらにその仕組みを解明した。その後、リソゾームとは異なる細胞小器官ペルオキシゾームも発見している。1974年に「細胞の構造と機能に関する発見」に対して、A・クロード、パラーデとともにノーベル医学生理学賞を受賞した。
[編集部]
[参照項目] |
| |