ノット(読み)のつと

デジタル大辞泉 「ノット」の意味・読み・例文・類語

ノット(not)

多く複合語の形で用い、…でない、…しない、の意を表す。「ノットイーブン」
(NOT)論理演算の一で否定論理否定。または、コンピューターで、NOT回路

のっ‐と

[副]ぬっと」に同じ。
「背の高い影が―現われた」〈漱石虞美人草

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精選版 日本国語大辞典 「ノット」の意味・読み・例文・類語

ノット

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] knot )
  2. ひも、綱、ネクタイなどの結び目
    1. [初出の実例]「此結目(ノット)を解いたものは東方の帝たらんと云ふ神詫を聞いたとき」(出典:虞美人草(1907)〈夏目漱石〉三)
  3. ( 「節・浬」はあて字 ) 船舶の速度の単位。一ノットは一時間に一海里(約一八五二メートル)進む速度。記号は kn または kt
    1. [初出の実例]「速力は十四『ノット』半なるもの」(出典:東京日日新聞‐明治一六年(1883)二月五日)

のっ‐と

  1. 〘 副詞 〙 思いがけない時に、とつぜん目の前にあらわれたり、急に動いたりするさまを表わす語。ぬっと。
    1. [初出の実例]「むめがかにのっと日の出る山路かな〈芭蕉〉 処々に雉子の啼たつ〈野坡〉」(出典:俳諧・炭俵(1694)上)

ノット

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] NOT ) =ろんりひてい(論理否定)

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日本歴史地名大系 「ノット」の解説

ノット
のつと

漢字表記地名「能津登」のもととなったアイヌ語に由来する地名。「西蝦夷地場所地名等控」にノットとある。「西蝦夷地日記」にノット、シマコタンを合せて「両所に夷家廿七軒」と記される(文化四年八月二五日条)。天保郷帳ではイソヤ持場のうちとしてノットがみえる。「廻浦日記」にノット(ノトロとも)とみえ、「昔此処に夷家六軒有しとなり。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ノット」の意味・わかりやすい解説

ノット(Cargill Gilston Knott)
のっと
Cargill Gilston Knott
(1856―1922)

イギリス物理学者、明治時代のお雇い外国人教師。スコットランドのペニクウィク生まれ。1872年エジンバラ大学に入学。卒業後、同大学自然哲学科助手。1883年(明治16)エジンバラを離れ、同年ユーイング後任として東京大学理学部で教鞭(きょうべん)をとり始め、電気学、磁気学、力学などを講義。この間、地震研究に参加、また日本で最初の全国的な地磁気観測を田中館愛橘(たなかだてあいきつ)らと組織し、指導にあたったほか、火山研究も行った。1891年、帝大理科大学最後のお雇い外国人教師として離任。帰国後は母校の応用数学講師となり、王立協会会員に選ばれた。『エンサイクロペディア・ブリタニカ』に多くの論文を寄稿。

[内田 謙 2018年8月21日]


ノット(速さの単位)
のっと
knot

航海および航空用の速さの単位。国際単位系(SI)においては「その他の非SI単位」の一つとして採用されている。記号はknである。1時間当り1海里(1852メートル)の速さを1ノットという。海里は地球の中心角1分に対する海面上の弧の長さで、緯度によって異なる。イギリスでは6080フィート(1853.2メートル)をとっていたが、他の国では一般に1852メートルを用いてきた。そこで1929年、モナコで開かれた第1回臨時国際水路会議で、国際海里として1852メートルが採用された。ノットの名は16世紀ごろから使われたもので、船尾から繰り出す浮きの綱につけた結びこぶknotの数で測定したことによる。5ファゾム(9.144メートル)間隔の結びこぶが、砂時計の28秒間に通過した数が毎時何海里かを表した。

[小泉袈裟勝・今井秀孝]

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改訂新版 世界大百科事典 「ノット」の意味・わかりやすい解説

ノット (のっと)

日本音楽の用語。(1)能の謡事(うたいごと)の小段名。《鉄輪(かなわ)》《小鍛冶》《巻絹》などで神職や巫女(みこ)が神に捧げる祝詞(のりと)。低音域を中心にした独特の旋律をもち,拍子に合わず句数は不定。狂言の《禰宜(ねぎ)山伏》でも謡われる。(2)能の囃子の手組(てくみ)名。(1)の部分などに奏する。小鼓がプポプポ(打音名)と終始打ち続けるのが特徴で,笛と大鼓が加わる。(3)下座(げざ)音楽の用語。(2)を踏襲したもので,長唄の囃子,三味線の演奏に用いられる。《勧進帳》で神に祈禱するとき,《小鍛冶》で厳粛な由来を述べるときなどに奏される。
執筆者:


ノット
knot

速さの単位。航海などで用いられる。今日の国際慣行では,1カイリ(海里)毎時=(1852/3600)m/s=0.51444……m/sに等しい速さと解する。日本の計量法では,特殊の計量に用いる補助計量単位として扱い,1時間につき1カイリの速さと定め,記号にはkn(または他と混同のおそれがないときkt)を用いるとしている。数値については時代により国により異なった解釈もなされる。国際単位系の立場からは推奨しがたい単位である。
執筆者:

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朝日日本歴史人物事典 「ノット」の解説

ノット

没年:1922.10.26(1922.10.26)
生年:1856.6.30
明治期に来日したお雇い外国人。イギリス人物理学者。スコットランド生まれ。エジンバラ大学を卒業後物理学教室の助手を務めた。グラスゴー大学のトムソン教授(ケルビン卿)の推薦で明治16(1883)年に来日して東大理学部の物理学の教師となり,引き続き帝大理科大学で教え,24年まで在職。その間,高等電気,音響学,磁気力学などを講義し,日本全土の磁気測量にも従事した。またミルンやユーイングらと共に地震学の研究も行った。24年に帰国後はエジンバラ大学教授,エジンバラ王立協会書記長などを務めた。

(三好信浩)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「ノット」の解説

ノット Knott, Cargill Gilston

1856-1922 イギリスの物理学者。
1856年6月30日生まれ。明治16年(1883)来日,東京大学(のち帝国大学)で電気学,音響学,磁気力学などをおしえる。在日中,J.ミルンらと地震,火山の調査・研究をおこなった。24年帰国。1922年10月26日死去。66歳。スコットランド出身。エジンバラ大卒。

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百科事典マイペディア 「ノット」の意味・わかりやすい解説

ノット

船の速度の単位。記号ktまたはkn。毎時1カイリ(1852m)の速さをいう。飛行機,海流,風の速度を表すのにも用いる。国際慣行,また日本では補助計量単位として用いられる。→カイリ

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単位名がわかる辞典 「ノット」の解説

ノット【knot】

速度の単位。記号は「kt」または「kn」。1ktは、1時間に1国際海里(1852m)進む速度。おもに船舶や航空機、風などに用いる。◇名称は、16世紀ごろ、船尾から流した紐(ひも)の結び目(knot)の数で船の速度を測ったことに基づく。漢字で「節」とも書く。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ノット」の意味・わかりやすい解説

ノット
knot

航海,航空,潮流,風速などに用いられる速さの単位。記号は ktまたは kn。1ノットは 1時間に 1海里を進む速さで,時速 1.852kmである。ノットの語源は 16世紀頃に測程索につけた結び目 knotを数えて船の速さを決めたことに由来する。

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367日誕生日大事典 「ノット」の解説

ノット

生年月日:1856年6月30日
イギリスの地震学者
1922年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内のノットの言及

【カイリ(海里)】より

…歴史的には,地球の平均子午円の中心角1分に対する地表上の長さ,または船舶の曳航測程儀の機能から割り出されてきたために不統一で,例えばイギリスでは6080フィート(1853.1824m),アメリカでは6080.2フィート(1853.1887m)であった。毎時1カイリの速さを1ノットknot(kn)といい,船舶などの速さを表すのに用いられる。国際単位系の立場からは推奨しがたい単位である。…

【度量衡】より

…(3)道具のサイズによる度 (ハ)の系統の例としては,長さをはかるための綱や糸にちなむものがあり,既述の古代エジプトの数記号もそれと間接的に関係していたわけだが,これも既述のドイツのクラフテルは,ファーデンFaden(糸の意)とも呼ばれ,測定用具としての糸との関連をうかがわせるところがあった。なお,長さではなく速さの単位としてだが,イギリスのノットknot,ドイツのクノーテンKnoten,フランスのニューnœudは,糸の結び目を意味するが,それを使う速度判定法との関連で,航海速度の単位に名をとどめている。(4)人や家畜の能力による度 今度は(ニ)の系統の話であるが,一定時間内に進む道のりのたぐいのものがいくつも知られている。…

【節】より

…樹木の枝が樹幹の肥大に伴って樹幹の材の中に包み込まれた部分。丸太から板や柱などを製材したときに,節の断面が現れてくるが,その形によって丸いものを〈丸節〉,楕円形のものを〈楕円節〉と呼び,さらに枝の長軸に沿う方向に切られた場合には双曲線を示すようになるので,これを〈流れ節〉と呼んでいる。枝が生きていて,健全な場合には〈生節(いきぶし)〉と呼び,節の部分の組織はまわりの組織とつながっている。枯れた枝からできた節は〈死節(しにぶし)〉と呼ばれ,周囲の組織とのつながりはない。…

【カイリ(海里)】より

…歴史的には,地球の平均子午円の中心角1分に対する地表上の長さ,または船舶の曳航測程儀の機能から割り出されてきたために不統一で,例えばイギリスでは6080フィート(1853.1824m),アメリカでは6080.2フィート(1853.1887m)であった。毎時1カイリの速さを1ノットknot(kn)といい,船舶などの速さを表すのに用いられる。国際単位系の立場からは推奨しがたい単位である。…

【測程儀】より

…このような歴史的測程儀としては,縄(測程線という)をつけた扇形板を船尾から流し,これが28秒(もしくは14秒)間にどれだけ流されたかを測程線の長さを測って計測する手用測程儀(ハンドログ)がある。この測程線には7mごとに結び目の数を増やした枝縄がつけてあり,船の速力をこの結び目(ノットknot)の数で呼んだことから,現在も船の速力の単位としてノットが使われているのである。 現在使用されている測程儀には次のようなものがある。…

【度量衡】より

…(3)道具のサイズによる度 (ハ)の系統の例としては,長さをはかるための綱や糸にちなむものがあり,既述の古代エジプトの数記号もそれと間接的に関係していたわけだが,これも既述のドイツのクラフテルは,ファーデンFaden(糸の意)とも呼ばれ,測定用具としての糸との関連をうかがわせるところがあった。なお,長さではなく速さの単位としてだが,イギリスのノットknot,ドイツのクノーテンKnoten,フランスのニューnœudは,糸の結び目を意味するが,それを使う速度判定法との関連で,航海速度の単位に名をとどめている。(4)人や家畜の能力による度 今度は(ニ)の系統の話であるが,一定時間内に進む道のりのたぐいのものがいくつも知られている。…

【祝詞】より

…ノリトはノリトゴト(詔刀言,能里等其等,祝詞事,祝詞辞,法刀言)の略言。また,ノト(ノリトの略言),ノット(ノリトの音便),ノトゴト(ノリトゴトの略言)ともいった。ノリトゴトの語義については諸説あるが,代表的なものとしては,宣説言(のりとごと)(本居宣長),御卜言(みうらごと)すなわち占兆解言(ふとのりとごと)(敷田年治),宣処言(のりとごと)(折口信夫)などがある。…

※「ノット」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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