ノリ
《栄養と働き》
ノリは、アマノリ、イワノリ、アオノリ、エゴノリ、オゴノリなどいろいろありますが、焼きノリや味付けノリになるもっとも一般的なものはアマノリ(甘海苔)です。
干しノリは、アマノリをよく洗ってから細かくカットし、すいて脱水し、簾(すだれ)の上にのせ乾燥させたもの。いまは工業化がすすみ、機械を使って製造した干しノリがふえています。
○栄養成分としての働き
ノリは、ビタミンやミネラルなどの成分が凝縮されている高密度栄養食品といえます。
とくに、カロテンは体内でビタミンAにかわります。Aの作用は全身におよび、皮膚や目の角膜(かくまく)、口腔(こうくう)、胃腸などをおおう上皮組織の分化に働き、粘膜(ねんまく)を健康に保たせます。不足すると目は潤いをなくし、肌がかさつき、消化器官が損なわれ、かぜをよくひくようになります。
近年、カロテンは活性酸素から体をまもり、発がんを予防することがわかってきました。悪玉コレステロールの酸化を防ぎ、動脈硬化の予防に役立ちます。
〈貧血を予防するビタミンB12、骨を丈夫にするカルシウム〉
ビタミンB12は、葉酸(ようさん)と協力しあい赤血球の産生に働くほか、神経を正常に働かせます。不足すると悪性貧血になることがあります。
カルシウムは、マグネシウムなどとともに骨や歯を形成し、健康を維持するほか、神経の興奮を鎮め、精神を安定させます。
不足すると、ひいては骨質が薄弱となり、腰痛、肩こり、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)におちいります。
ノリには、カルシウムとともに神経の働きを支えるマグネシウムも多いのが特徴です。
《調理のポイント》
アマノリを選ぶときは、黒紫色でつやがあり、厚さが均一、香りのよいものを。有明海や瀬戸内海産のアマノリが有名です。
缶などの密封できる容器に保存しましょう。もし湿気を吸ったら、火であぶるとパリっとします。おにぎりや手巻き寿司、そばやうどんの薬味に最適です。
・イワノリ/天然アマノリの俗称。養殖ものが内海で育つのに対し、イワノリは外海に面した岩に付着。そのためかたく磯の香りも強いのが特徴。素干しと凍結乾燥ものがあります。
・アオノリ/日本各地の沿岸部や湾、河口部に生育します。とくに四万十川(しまんとがわ)河口のものが有名。鮮やかな緑色で、独特の香りもあり、粉末にしたアオノリはせんべいなどのお菓子や、お好み焼き、焼きそばなどに用いられます。
・エゴノリ/寒天質をもった海藻。乾燥したエゴノリを煮溶かし、凝固させたものを「おきうと」(博多)、「えごねり」(佐渡)と呼びます。適度な大きさに切り、からし酢味噌や三杯酢、和えものにして食べます。
・オゴノリ/刺身のつまとして登場する海藻です。「おご」「うご」「なごや」ともいいます。海中ではくすんだ紫褐色ですが、石灰水か熱湯につけると緑色に。塩蔵品が多く、塩ぬきしてからサラダやつまなどに使います。
出典 小学館食の医学館について 情報
ノリ
のり
Fan Noli
(1882―1965)
アルバニアの詩人、聖職者、政治家。本名Teofan Stylian Noli。東トラキア出身。エジプトで民族主義の気運に触れ、渡米してハーバード大学に学び、1908年に在米アルバニア人の東方正教会を組織し、主教として民族意識を育成した。1920年に帰国し、民衆党政権の外相となったが、1924年に独裁的なゾーグ政権が崩壊したあと首相に就任、封建制打破、行政改革に着手した。しかし同年末にゾーグによるクーデターで国を追われ、再度渡米して詩や翻訳の分野で活躍した。
[木戸 蓊 2018年2月16日]
出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例
ノリ
Noli, Fan Stylian
[生]1882.1.6. イブリクテベ
[没]1965.3.13. フロリダ,フォートローダーデール
アルバニアの作家,政治家。本名 Teofan。 1912年ハーバード大学を卒業。詩人,音楽研究家として活躍するかたわら,多くの西ヨーロッパの文学作品をアルバニア語に翻訳。 24年アルバニアの民主革命政府の首相となったが,ゾグ1世の反革命クーデターにより同年故国を追われた。晩年はアメリカで著述に専念した。主著『ゲオルゲ・カストリオティ・スカンデルベクの歴史』 History of George Castrioti Scanderbeg (1947) 。 (→アルバニア文学 )
ノリ
日本音楽の用語。おもに能楽において拍節的リズムを意味する語。謡の八拍子を基本とした拍子に合うリズム形式 (拍子合) として,平ノリ (小ノリ) ,中ノリ (修羅ノリ) ,大ノリ (それによって歌われる部分名称を「ノリ地」といい,記譜上「ノル」と書かれれば大ノリになることをいう) の3種がある。「ノル」といえば,そのリズム感を鮮明にするか,その目的で単純化することをいい,その結果テンポを速めることにもなるので,三味線音楽などでは速度または緩急法についてのみいうことが多い。
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
のり【ノリ】
日本音楽の理論用語。〈乗〉とも書く。リズムに関連して,さまざまに用いられる。まず能楽では,リズム感というような意味で,〈ノリ良く〉とか〈ノリをおさえる〉などという。前者は各拍をはっきり奏して浮きやかに奏すること,後者は逆に拍や拍節を目立たなくさせることをいう。また謡(うたい)では地拍子上の3種のリズム様式を,平ノリ,中ノリ,大ノリと称するほか,最近では拍子不合(ひようしあわず)の謡のリズムにも,サシノリ,クリノリ,詠(えい)ノリの3種を区別することが行われるようになっている。
ノリ【Fan Noli】
1882‐1965
アルバニアの政治家,作家,東方正教会主教。本名Teofan Stylian Noli。向学心に燃えてアメリカへ渡り,1912年にハーバード大学を卒業し,アルバニア系移民の間で詩人,宗教者として活躍した。20年に帰国し,24年の選挙で民主主義政権が成立するとともにその首相となったが,ゾグによるクーデタにより国を追われ,再びアメリカに渡った。風刺詩,翻訳のほか,詳細な史料による歴史研究《スカンデル・ベク》(1947)がある。
出典 株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について 情報
ノリ
広義には英語の「feeling」にほぼ相当する言葉で、「ノリが合う」といえばフィーリングがぴったり一致すること。狭義にはビートの出し方を意味する。最近では、リズムや演奏のノリを表現する言葉、グルーブ(groove)というのも一般的。たとえば「前ノリ」は本来のビートよりも少しだけ前にずれたビートの出し方のことで、逆に「後ノリ」は少しだけ後ろにずれたビートの出し方のこと。「ハシる」や「モタる」は規定のビートからはずれて次第に速くなったり遅くなったりすることで、均一なビートを刻みながら前後にずれる「前ノリ」「後ノリ」とは区別される。
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