翻訳|nobelium
アクチノイドに属する放射性元素の一つ。原子番号102、元素記号No。この元素の人工合成については、1957年アメリカのアルゴンヌ国立研究所、イギリスのハーウェル原子力研究所、スウェーデンのノーベル物理学研究所の共同研究に始まり、アメリカのカリフォルニア大学バークリー校とソ連(現、ロシア)のドゥブナ研究所での研究競合が1960年代末まで続けられた。原子番号82番の鉛から98番カリホルニウムくらいまでの重元素原子に原子番号5番ホウ素から20番カルシウムくらいまでの軽元素原子を衝撃させて得た、質量数250から260を超える同位体の生成が報告されているが、最長の半減期はノーベリウム259の58分とされている。対応するランタノイドのイッテルビウムに似た化学的性質を示し、水溶液中で2価および3価陽イオンとなる。元素名としてロシアの研究者からはジョリオチウムjoliotium(元素記号Jo)が提案されたが、国際純正・応用化学連合(IUPAC:International Union of Pure and Applied Chemistry)は、最初に実験が行われた研究所およびノーベル賞創設者のノーベルを記念して、ノーベリウムを採用した。
[岩本振武]
No.原子番号102の元素.電子配置[Rn]5f 147s2の周期表3族アクチノイド元素.A. Nobel(ノーベル)にちなんで命名された.1958年4月,カリフォルニア大学バークレー校のG.T. Seaborg(シーボーグ),A. Ghiorsoらにより,246Cmの重イオン線形加速器(HILAC)による12Cイオン衝撃で,半減期55 s の質量数254の核種がつくられた.その前年,スウェーデン,アメリカ,イギリスのチームがストックホルムのノーベル研究所で,244Cmの13Cイオン衝撃で半減期10 min の102番元素を合成したと発表し,ノーベリウムを元素名として提案し,IUPACはこれを受け入れたが,その後カリフォルニア大学バークレー校,ソビエト(当時)のドゥブナ原子核合同研究所の追試でもこの合成は確認できなかった.1966年に至り,バークレーグループが質量数252,254,257の核種の半減期を確定し,スウェーデンの実験が否定されたので,命名の権利がバークレーグループにゆだねられたが,同グループはすでに一度受け入れられたことのあるノーベリウムをそのまま使用することを提案した.現在,知られている同位体核種は,250~264の範囲に15種.質量数259のα崩壊核種がもっとも長寿命で半減期58 min.第一イオン化エネルギー660 kJ mol-1(6.84 eV).酸化数2,3.[CAS 10028-14-5]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
周期表第ⅢA族に属するアクチノイドの一つ。1957年スウェーデンのノーベル物理研究所において,アメリカのフィールズP.R.Fields,フリードマンA.M.Friedman,イギリスのミルステッドJ.M.Milsted,スウェーデンのアタリングH.Atterling,フォースリングW.Forsling,ホルムL.W.Holm,オーストレームB.Åströmの共同研究によって,サイクロトロンで加速した13C4⁺を244Cmに衝撃させて初めてつくられた。半減期約10分のα放出体とされている。つくられた研究所およびA.B.ノーベルの名にちなんで命名された。これは国際的に承認されはしたが,後にカリフォルニア大学のギオーソA.Ghiorsoらは,これらの追試を行ったがこの102番元素を確認できなかったとして,別の方法で半減期3秒のα放出体254Noをつくったと主張している。現在までそれほど多くつくられていないので詳細は不明である。
執筆者:中原 勝儼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加
9/20 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新