ハフニウム(英語表記)hafnium

翻訳|hafnium

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

元素記号 Hf ,原子番号 72,原子量 178.49。周期表4族に属する。天然には常にジルコニウムに伴って産出し,単独の鉱物は知られていない。地殻存在量は 3.0ppm,海水中の含有量は 0.008 μg/l 以下。 1923年 D.コスターと G.ヘベシーによりジルコニウム鉱物中から発見され,コペンハーゲンの古いラテン名にちなんでハフニウムと命名された。単体は銀白色で光沢ある展延性に富む金属で,チタン,ジルコニウムと同族。融点 2227℃,比重 13.3。化学的性質はジルコニウムに酷似しているため,相互分離は非常に困難である。白熱電球フィラメントX線管陰極,高圧放電管の電極 (ハフニウムと,タングステンまたはモリブデンとの合金として用いられる) ,特殊ガラス,特殊合金などに使われる。

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百科事典マイペディアの解説

元素記号はHf。原子番号72,原子量178.49。密度13.310,融点2230℃,沸点5197℃。周期律表4(IVA)族のチタン族元素の一つ。1923年ヘベシーとコスターが発見。灰色の金属。性質はジルコニウムとよく似,常にジルコニウムに伴って産する。

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世界大百科事典 第2版の解説

周期表元素記号=Hf 原子番号=72原子量=178.49±3地殻中の存在度=3ppm(41位)安定核種存在比 174Hf=0.163%,176Hf=5.21%,177Hf=18.56%,178Hf=27.1%,179Hf=13.75%,180Hf=35.22%融点=2150℃ 沸点=5400℃比重=13.31(20℃)電子配置=[Xe]4f145d26s2 おもな酸化数=IV周期表第IVA族に属するチタン族元素の一つ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

周期表第4族に属し、チタン族元素の一つ。原子番号72、元素記号Hf。つねにジルコニウムと随伴し、化学的性質が酷似して分離が困難であったため、発見が確認されたのは1923年である。それに先だつ1907年フランスのユルバンGeorges Urbain(1872―1938)はランタノイドの最終元素71番ルテチウムに引き続いて72番の新元素セルチウムceltiumを発見したと主張したが、デンマークの理論物理学者ボーア、ハンガリーのヘベシーらのコペンハーゲン学派は、古典量子論に基づく元素の電子配置から、72番元素はジルコニウムあるいはトリウムに類縁性があるとして、ジルコニウム鉱物からこれを発見し、コペンハーゲンのラテン語名ハフニアHafniaからハフニウムと命名した。

 ジルコニウム鉱物中にZr:Hf=60:1程度の比率で含まれ、イオン交換法、溶媒抽出法などによって両者が分離される。酸化数+Ⅳが化学的に安定で、原子半径(1.6Å)、イオン半径(0.78Å)はジルコニウムとほとんど同じであり、ジルコニウムとほとんど同じ化合物を生成する。比重はジルコニウムの約2倍で中性子吸収断面積は約600倍である。吸収断面積の小さなジルコニウムは原子炉材料となり、その際数百ppm以下にまで除かれるハフニウムが副産物として得られ、中性子を吸収する制御材として利用される。細粉状の金属は室温でも発火性がある。

[岩本振武]


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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 (hafnium 発見地コペンハーゲンのラテン語名ハフニアにちなみ命名) 金属元素の一つ。元素記号 Hf 原子番号七二。原子量一七八・四九。灰白色でジルコニウムと性質がよく似ており、随伴して得られる。中性子を吸収するので、原子炉の制御に用いる。〔近代科学の驚異(1934)〕

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化学辞典 第2版の解説

Hf.原子番号72の元素.電子配置[Xe]4f 145d26s2の周期表4族遷移金属元素.原子量178.49(2).天然同位体存在比は 174Hf 0.16(1)%,176Hf 5.26(7)%,177Hf 18.60(9)%,178Hf 27.28(7)%,179Hf 13.62(2)%,180Hf 35.08(16)%.質量数153~188までの放射性核種がつくられている.1923年,G. Hevesy(ヘベシー)とD. CosterがX線分光分析法によってジルコニウム鉱物(ジルコン)中から発見した.元素名は発見の実験が行われたデンマークのコペンハーゲンのラテン語名“Hafnia”から.元素記号も名称から.
地殻中の存在度3 ppm.固有の鉱物はなく,親縁元素のジルコニウムの鉱物,ジルコン,バッデレイ石中につねに存在する.ジルコンがハフニウムの主要鉱物でジルコニウムの1~4% 存在する.主要資源国は,ジルコニウムの資源国と同じで,オーストラリア,南アフリカで世界の全埋蔵量の80% を占める.日本は全量,金属を輸入している.同族のジルコニウムとの分離は困難で,Hevesyらは,フッ化カリウムまたはフッ化アンモニウムとの複塩の再結晶の繰り返しによって成功した.現在はイオン交換クロマトグラフィー,チオシアナト錯塩の溶媒抽出で分離する.工業的には,溶媒抽出法,四塩化物のKCl-AlCl3溶融塩溶液からの蒸留などの方法がある.金属は,歴史的にはvan Arkelとde Boerによって四ヨウ化物の蒸気をタングステンフィラメント上で還元して得られたが,現在は四塩化物のマグネシウムによる還元で得られる(Kroll法).純粋な金属は六方晶系構造で,銀白色光沢を示し,軟らかい.密度13.310 g cm-3(6.506 g cm-3)(ともに20 ℃).融点2230 ℃(1852 ℃),沸点5197 ℃(4377 ℃).第一イオン化エネルギー654.1 kJ mol-1(659.9 kJ mol-1).原子半径0.156 nm(0.159 nm).イオン半径0.085 nm(六配位)(0.086 nm).( )内はジルコニウム.ジルコニウムとの分離が困難な理由は,ランタノイド収縮により半径がほぼ等しく,化学的性質もよく似ているためである.高温で酸素,窒素,硫黄と反応する.700 ℃ 以上で水素を吸蔵してHf H1.86 の化合物をつくる.加熱するとハロゲンと反応して四ハロゲン化物をつくる.通常は酸化数2~4.最高酸化数6.冷鉱酸,アルカリ水溶液には侵されない.常温で水と反応しない.
用途は,熱中性子吸収断面積がいちじるしく大きい(Zrの0.185 barn に対して105 barn,1 barn = 10-28 m2)ので,原子炉の制御棒に用いられる.ジェットエンジンや発電用ガスタービンのブレードに用いられる超強力耐熱合金や,高温用セラミックの材料,酸素,窒素のゲッターなどとしても用いられる.炭化ハフニウムはプラズマ電極,高圧放電管電極材料,切削用工具などに使われる.超合金用の需要がもっとも多い.「ハフニウム及びその化合物」は,労働安全衛生法第57条2第1項に定める「名称等を通知すべき有害物」である.[CAS 7440-58-6]

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世界大百科事典内のハフニウムの言及

【ジルコニウム】より

…化合物はほとんどが酸化数IVであり,IIおよびIIIはハロゲン化物など少数が知られている。
[製法]
 製錬原料のジルコンにはつねにハフニウムHfが少量含まれるが,ハフニウムは熱中性子吸収断面積が大きいため(110バーン),原子炉の燃料被覆材として使用するためには,ハフニウムの含有量は0.01%以下にする必要がある。まず鉱石を炭素とともにアーク炉で熱して還元し,ケイ素の大部分を二酸化ケイ素として除き炭化ジルコニウムとする。…

※「ハフニウム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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