日本大百科全書(ニッポニカ) 「バルマー」の意味・わかりやすい解説
バルマー(Johann Jakob Balmer)
ばるまー
Johann Jakob Balmer
(1825―1898)
スイスの数学者、物理学者。カールスルーエ大学とベルリン大学で数学を学んだのち、サイクロイドに関する研究で学位を取得。女子中等学校で教鞭(きょうべん)をとる一方、バーゼル大学の非常勤講師を務めた。
バルマーは数学というよりは、彼の名を冠した元素スペクトルの「バルマーの公式」で知られる。当初、元素スペクトルの規則性は音響学との機械的アナロジーから簡単な調和比になるとの意見が強かったが、1885年、水素のスペクトル系列の数学的構造を解析し、公式λ=hm2/(m2-n2)を得て、元素スペクトルの研究の典型を示した。なお、その数学的規則性はのちにボーアの原子構造論によって物理学的に解かれた。
[兵藤友博]
バルマー(Bhagvatīcharan Varmā)
ばるまー
Bhagvatīcharan Varmā
(1903―1981)
インドのヒンディー語の小説家。ウッタル・プラデシュ州に生まれる。アラハバード大学で文学・法学を学ぶ。詩人として出発するが、生活のため弁護士開業。また雑誌編集者、映画シナリオ作家、日刊紙主筆、全インド放送局勤務など職業を転々、文筆に専念できるようになったのは1950年代の後半であった。都市生活者の叙事詩というべき大河小説『曲りくねった道』(1946)、『忘れ去られた絵』(1959)などを目撃者の立場で描いた。晩年は大統領任命による上院議員となる。
[田中敏雄]
バルマー(Mahādevī Varmā)
ばるまー
Mahādevī Varmā
(1907―1987)
インドのヒンディー語の女流詩人。ウッタル・プラデシュ州に生まれる。1933年、アラハバード大学でサンスクリット語学文学修士となり、同年女子専門学校校長に就任した。ニラーラー、パントとともに、第一次世界大戦後の広範なロマンチシズム運動である「チャーヤーワード」(陰影主義)の中心的存在であり、代表作に詩集『灯火の炎』(1940)、散文スケッチ『過去の映像』(1941)、『追憶集』(1943)などがある。
[田中敏雄]