翻訳|spectrum
単にスペクトルといった場合,光を分光器などで分解したときの各波長成分の強さの分布,すなわち光スペクトルをいうのがふつうである。本来発光体の波長特性(周波数特性)を表す用語であったが,いまでは発光にかぎらず物質が電磁波と相互作用をした結果現れるさまざまな応答に対して一般的に用いられる。物質のエネルギー準位構造や発光の形態を反映して,離散的スペクトル,バンドスペクトル,連続スペクトルなどがある。
なお,光にかぎらず時間的に変化する関数のフーリエ分解の結果現れる周波数組成をスペクトルという場合も多い。さらに正弦波分解にかぎらず例えば質量スペクトルというようにその量を特徴づける変数を横軸にとり,分布量を縦軸にとったグラフを指してスペクトル(分布)ということもある。
→光スペクトル
執筆者:清水 忠雄
ランダムに変動する時系列信号x(t)を定常確率過程とみなすことができるとき,その自己相関関数は,Rxx(τ)=Ex(t)x(t+τ)と定義される。Eは集合平均を表す期待値オペレーターを意味する。この自己相関関数のフーリエ変換を,その信号のスペクトル関数,あるいはパワースペクトルという。スペクトル関数は角周波数ωあるいは周波数fの関数として表現されるが,一般に非負の値を取る偶関数となる。自己相関関数がδ関数になるような定常確率過程を白色雑音と称するが,そのフーリエ変換は恒等的に1となる関数である。つまり,スペクトルが平たんで,あらゆる周波数成分を均等に含む不規則信号が白色雑音であるということもできる。なお,時系列信号のスペクトル解析を工学の世界に初めて導入し,その重要性を示したのはサイバネティックスの創始者でもあったN.ウィーナーである。
執筆者:有本 卓
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…光を分光器によって分解したとき,波長または振動数の関数として与えられた光の強度分布をいう。単にスペクトルspectrumと呼ぶことが多い。ニュートンが,プリズムを通した太陽光が赤,だいだい,黄,緑,あい,紫の色光に分解されるのを観測し,これをスペクトルと名付けたのが最初である。…
…この意味でXの共役空間X*はXと同じと考える。
[ヒルベルト空間におけるスペクトル理論]
弦や膜のような連続的な媒質の振動を数学的に定式化すると,微分方程式の境界値問題になる。例えば,両端ξ=0,ξ=1を固定した密度一定な弦の振動は,境界値問題, x″=-μ2x,x(0)=x(1)=0 ……(5) になる。…
…このことは恒星が扁平な銀河円盤をなして空間分布している事実の現れである。
[年周視差と固有運動]
星の位置の測定は明るさと色の測光,スペクトル分光とともにもっとも基本的な天文測定である。無限遠にあると考えてもよいほど遠い恒星を基準とすれば,観測される恒星位置の変動は年周視差と固有運動によるものとである。…
…光を分光器によって分解したとき,波長または振動数の関数として与えられた光の強度分布をいう。単にスペクトルspectrumと呼ぶことが多い。ニュートンが,プリズムを通した太陽光が赤,だいだい,黄,緑,あい,紫の色光に分解されるのを観測し,これをスペクトルと名付けたのが最初である。…
※「スペクトル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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突発的に発生し、局地的に限られた地域に降る激しい豪雨のこと。長くても1時間程度しか続かず、豪雨の降る範囲は広くても10キロメートル四方くらいと狭い局地的大雨。このため、前線や低気圧、台風などに伴う集中...