パチタン文化(読み)パチタンぶんか

改訂新版 世界大百科事典 「パチタン文化」の意味・わかりやすい解説

パチタン文化 (パチタンぶんか)

インドネシアジャワ島中部にみられる旧石器時代文化。G.H.R.vonケーニヒスワルトとM.W.F.トウィーディーにより,パチタンPatjitan付近のバクソカ川の段丘などから採集された前期旧石器的な粗製大型の石器類であるが,地質学的な層序は不明である。その後,H.L.モビウスによって研究され,ハンド・アックスは存在するものの少数であり,両面加工のものが少ないことから,パキスタンソアン文化などと同様,チョッパー・チョッピングトゥール文化の範疇に入れるべきであると主張された。彼によれば,石器はチョッパー431,チョッピングトゥール89,ハンド・アッズ87,プロト・ハンド・アックス195,ハンド・アックス153,剝片石器596,使用痕を残す剝片807,石核31,その他となっている。年代については,中部~上部洪積世にかけてのもので,ピテカントロプスの残したものと考えられるが,確証はない。その後H.R.vanヘーケレンが付近の他遺跡からも発見し,チョッパーをflat-iron(平らなアイロン)形,馬蹄形,サイド・チョッパー,エンド・チョッパーの4種に分けたうえで,前2者を本文化の特徴としている。
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百科事典マイペディア 「パチタン文化」の意味・わかりやすい解説

パチタン文化【パチタンぶんか】

ジャワ島の前期旧石器時代文化。インド西境とし,東南アジア分布をもつチョッパー・チョッピングトゥール(旧石器)文化の一つ。遺跡は東部ジャワの南岸パチタンPatjtanにあり,1935年オランダの考古学者ケーニヒスワルトによる多量の大型石器の発見以後多くの調査が行われた。この文化の年代は中部洪積世から上部洪積世初め,ピテカントロプス段階のものと考えられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「パチタン文化」の意味・わかりやすい解説

パチタン文化
ぱちたんぶんか

インドネシアのジャワ島における旧石器文化。1935年にドイツのケーニヒスワルトとトウィーディは、同島南東岸パチタンPatjitan付近のバクソカ川の川床や3~4メートルの段丘上で、打器、握斧(あくふ)、祖型握槌(あくつい)、握槌、剥片(はくへん)石器、石核など多量の石器を発見した。いずれも表面採集であったため、年代決定は困難であったが、握槌の存在から、これらの石器をもつ文化は、シェル文化に並行すると考えた。のちにモウィウスは多量の打器類に注目し、この文化はアジアに分布する打器文化に属するものと考え、併存する握槌は他の文化の影響によるものではなく、独自に成立したとした。そして、この文化の担い手はおそらくジャワ原人であろうと考えた。

[片岡 肇]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「パチタン文化」の意味・わかりやすい解説

パチタン文化
パチタンぶんか
Patjitan culture

インドネシア,ジャワ島の旧石器文化で,中期更新世に属する。 G.ケーニヒスワルトらが 1935年中部ジャワのバクソカ川沿いのパチタンで発見した石器によって命名。大きな粗製のチョッパーなどの片面加工のものが大部分を占め,両面加工の握斧も少量含まれる。インドから東アジアに分布するチョッパー,チョッピング・トゥール文化の一環とされる。

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