ヒカリゴケ(光蘚)(読み)ヒカリゴケ(英語表記)Schistostega pennata

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヒカリゴケ(光蘚)」の意味・わかりやすい解説

ヒカリゴケ(光蘚)
ヒカリゴケ
Schistostega pennata

セン類ヒカリゴケ科の1種。湿りけのある洞窟入口などに生える。長さ5~8mm。直立して仮根を有し,下半部には葉をつけず上半部に左右2列で1層の細胞層から成る葉を生じるが,中肋はなく,またしばしば互いに接着しているので,全体が深い鋸歯状に裂刻をもった1枚の葉のようにみえる。色は灰白緑色で雌雄異株,成熟した体には正常葉より著しく小さい葉を上部に5列に生じる。雌株造卵器を生じ,受精後長さ 6mmの 蒴柄を伸ばして 蒴を生じる。ここに生じる胞子が落下して原糸体となるが,この原糸体は多年生で,洞窟の岩の表面などにはうように生長する。その単列の各細胞には葉緑体が下部にあり,上面の細胞膜は透明でやや隆起して凸レンズ状になっているので,光を反射する。そのため洞窟の入口から光が一つの方向に差込んでいるときに,光を背にして原糸体を見ると葉緑体から黄金色の光が美しく反射してくる。

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