視覚に訴えることによって成立するデザイン。デザイン行為は、もともと視覚を通じての受容を前提とするものであるが、ビジュアル・デザインないしは視覚デザインと呼称するときは、コミュニケーションの領域に関与するデザインのみを意味する。この語が指し示す領域のほとんどは、従来、コマーシャル・デザインおよびグラフィック・デザインという語によって表現されてきた。しかし、以上の語には、非商業的デザイン(公共広報など)や、非印刷的デザイン(看板、映画、テレビなど)などを含みえないところから、ビジュアル・デザインという語が使用されるに至った。これはデザインの本義を、コミュニケーションという場において追究したいとする積極的な態度の表れである。
公共施設や駅構内などの案内標識のようなサイン・デザインの領域は、ビジュアル・デザインという視座なしには発展しえなかったであろう。また、インターネットが普及したことにより、1990年ごろからホームページをデザインするというようなビジュアル・デザインの新しい領野が出現している。
[武井邦彦]
『原弘他編『グラフィックデザイン大系第1巻 ヴィジュアルデザイン』(1961・美術出版社)』▽『杉浦康平・松岡正剛編・著『世界のグラフィックデザイン第1巻 ヴィジュアルコミュニケーション』(1976・講談社)』▽『日本グラフィックデザイナー協会教育委員会編『ヴィジュアル・デザイン』全5巻(1993~98・六耀社)』▽『嶋田厚・津金澤聡廣編『復刻版 プレスアルト』全3巻、別巻1(1996・柏書房)』▽『シーズ編著『HTMLデザイン・ビジュアルガイド』(2000・エムディエヌコーポレーション・インプレスコミュニケーションズ)』▽『足立裕司著『HTMLデザイン辞典』(2001・翔泳社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
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