フレイ(読み)ふれい(英語表記)Eduardo Frei Montalva

精選版 日本国語大辞典 「フレイ」の意味・読み・例文・類語

フレイ

  1. ( Frey ) 北欧神話豊穰・平和・富の神。豊饒航海の神ニョルドの子で「生」の意。別名ユングビといい、スウェーデンのユングリング王家はその子孫とされている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「フレイ」の意味・わかりやすい解説

フレイ(Eduardo Frei Montalva)
ふれい
Eduardo Frei Montalva
(1911―1982)

チリの政治家。スイス人移民の子としてサンティアゴ市に生まれる。カトリック大学卒業後弁護士となり、国民ファランヘ党(後のキリスト教民主党)を結成。1964年に大統領に当選、キリスト教的共同体社会を実現すべく銅産業のチリ化や農地改革を進めた。1970年成立のアジェンデ社会主義政権には批判的であったが、これを打倒したピノチェト軍事政権に対しても民主主義と人権擁護の立場から対決姿勢をしだいに明らかにした。

[乗 浩子]

『E・フレイ・モンタルバ著、鹿島平和研究所訳『ラテンアメリカの運命』(1969・鹿島研究所出版会)』


フレイ(北欧神話)
ふれい
Freyr

北欧神話の神。ニョルドの子でフレイヤの兄弟。神々のなかの貴公子とされ、アールブヘイムに住む。フレイは1人で戦う剣と、帆を上げればいつも追い風を受け、畳めばポケットに入る船スキーズブラズニル、それに昼も夜も空中や海上をウマよりも速く駆ける黄金の野猪(やちょ)をもつ。初めバニル神族に属したが、父とともに人質としてアサ神族のもとにきた。巨人の娘ゲルズに恋したフレイは、彼の名剣と引き換えに従者スキールニルを派遣し、やっとのことで彼女を手に入れる。そのため世界の終末には、巨人を相手にシカの角(つの)で戦うはめとなる。古くから豊饒(ほうじょう)、結婚、平和の神としてスウェーデン、ノルウェーアイスランドで崇拝されたことは、ウプサラ(スウェーデン)の異教の祭儀ほか多くの証拠が示している。フレイは別名をユングビといい、スウェーデンのユングリング王家の祖とされる。

[谷口幸男]

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改訂新版 世界大百科事典 「フレイ」の意味・わかりやすい解説

フレイ
Eduardo Frei Montalva
生没年:1911-82

チリの政治家。サンチアゴ市生れ。弁護士,ジャーナリストを経て,1938年中産階級の国民ファランヘ党(1957年キリスト教民主党と改称)の指導者となる。49年同党としては最初の上院議員となった。64年大統領に当選(-1970)。民主主義・修正資本主義の立場からアメリカ系資本下の銅産業のチリ化,農地改革など,チリ経済の独立と社会の近代化に尽力した。70年に成立したアジェンデ政権に対しては,上院議長,反政府派の指導者としてその政策に反対し,また73年クーデタ以後のピノチェト軍事政権に対しても民主主義の回復,人権擁護を求めて闘った。70年代後半には南北問題の〈ブラント委員会〉のメンバーも務めた。
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百科事典マイペディア 「フレイ」の意味・わかりやすい解説

フレイ

北欧神話の神。ニョルズと巨人の娘スカディの息子。フレイヤは妹ないし姉。フレイとは〈主〉の意で,神々の中で最も美しく,豊作と平和の恵み手として非常に崇拝された。金色の毛をした猪の引く車に乗り,伸縮自在の魔法の船をもつ。別名ユングビYngvi。スウェーデンの最初の王家は彼の子孫を称してYnglingを名乗った。
→関連項目アース神族バン神族ラグナレク

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「フレイ」の意味・わかりやすい解説

フレイ
Freyr

北欧神話の神。もともとは豊穣神族バナに属するが,バナ神族アサ神族と戦った末に人質を交換したとき,フレイも父ニヨルズと妹フレイヤとともにアスガルズに人質として行き,アサ神族の仲間入りをした。豊穣神である父ニヨルズと同じく豊作と生殖と平和の神であり,また雨と太陽の神でもある。小人ブロックからもらった金色のいのししに乗って天を駆けめぐりながら,花や果物を地上にまく。世界滅亡のときにはスルトと戦って死ぬとされる。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「フレイ」の解説

フレイ
Eduardo Frei Montalva

1911~82

チリの大統領(在任1964~70)。1958年都市中間層,新興資本家層を基盤とするキリスト教民主党を設立,64年大統領となる。資本主義的近代化政策に沿い工業開発,農地改革,アメリカ系資本下にある銅産業のチリ化などの政策を打ち出したが,微温的な改革に終わった。中道・修正資本主義の立場から,アイェンデ政権にもピノチェット軍事政権にも反対した。

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世界大百科事典(旧版)内のフレイの言及

【アース神族】より

スノッリ・ストゥルルソンの《エッダ》の〈ギュルビたぶらかし〉によると,14の男神と後にふれる女神たちを含む。男神の中ではオーディンとトールがとくに活躍するが,そのほかにバルドル,ニョルズNjörðr(風,海,火,豊饒の神),フレイFreyr(豊饒と平和の神),チュールTýr(戦士の神),ブラギBragi(雄弁と詩の神),ヘイムダル,ホズ(盲目の神。ヤドリギでバルドルを射る),バーリ(ホズを討つ),ビーザル(怪狼を倒しオーディンの仇を討つ),ウルUllr(名射手),フォルセティ(和解の神),ロキ。…

【バン神族】より

…北欧神話でアース神族に対立する神族。豊饒,富,幸福をつかさどる神々で,ニョルズNjörðr,その子フレイFreyr,フレイヤなどがこの神族に属する。神々の世界を歴史化して描いたスノッリ・ストゥルルソンの《ユングリンガ・サガ》によれば,ニョルズは妹との間でフレイとフレイヤを生んだ。…

【フレイヤ】より

…その名は〈女,女主人〉を意味する。ニョルズの娘でフレイの姉(妹),バン神族の神のひとり。オーズの妻となり娘フノスとゲルシミを生む。…

【北欧神話】より

…その名は英語の火曜日Tuesdayに残されている。そのほかに風の動きを支配し海や火を鎮める神ニョルズNjörðr,その子で豊饒と人間の幸福をつかさどる神フレイFreyr,女神フレイヤがいる。女神フリッグFrigg(金曜日Fridayの語源)はオーディンの妻で,二人の間に生まれたのが光の神バルドルである。…

【ユール】より

…祝祭は,干し草作りや放牧家畜の囲込みなど,収穫作業を完了したあと,そして冬至の前の時期,すなわち中世北欧の暦法で〈ユーリルýlir〉と呼ばれた第2冬月(太陽暦の10月中旬から11月中旬まで)に,とくに雄豚を供犠したあと食べ,ビールを飲むなどの共同会食を伴った宴として催され,その意図は豊穣神への感謝と祈願,血族構成員間のきずなの強化であったろう。雄豚は古代北欧人の代表的な豊穣神フレイの聖獣である。なお,ユールの語はのちにキリスト教のクリスマスを指すようになり,また豚肉(ハム)は今日でも北欧のクリスマスには欠かせない食物である。…

【ラグナレク】より

…こうして神々と巨人族は死力を尽くして戦い,オーディンは狼に呑みこまれる。トールは大蛇と相討ちし,フレイはスルトに倒される。このようにして両者とも倒れ,最後にスルトが投じた火で天も地も燃え上がり全世界が火炎の中に滅び大地は海中に沈む。…

【チリ】より

…しかし50年代に入るとインフレが加速し,成長率はマイナスとなったため,50年代半ばには自由化政策が実施され,ある程度の成果はみられたものの,結局対外債務が増加し,外貨危機が深まった。64年に発足したフレイ政権は〈自由のもとでの革命〉の思想に基づき,農地改革法の実施による自作農の創設,銅産業の〈チリ化〉(外資系大銅山への政府の株式参加の比率を高め,輸出収入の増加を実現する)と産銅倍増計画の実施,製造業に関しては,重化学工業化の推進を行った。しかしこれら構造的改革の成果はすぐには現れず,短期的には成長率の低下,対外収支の赤字などに悩まされた。…

※「フレイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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