フンボルト(Karl Wilhelm Freiherr von Humboldt)(読み)ふんぼると(英語表記)Karl Wilhelm Freiherr von Humboldt

日本大百科全書(ニッポニカ) の解説

フンボルト(Karl Wilhelm Freiherr von Humboldt)
ふんぼると
Karl Wilhelm Freiherr von Humboldt
(1767―1835)

プロイセンの政治家、人文主義学者。地理学者A・フォン・フンボルトの兄。曽(そう)祖父の代までは市民身分だった新貴族の家柄に生まれ、ゲッティンゲン大学などで法学を学んだが、むしろ古典古代研究とカント哲学に没頭した。1790年ベルリンの裁判所に勤務したが、翌1791年結婚とともに退職。イエナに移住(1794)してシラーゲーテフィヒテ、シュレーゲル兄弟らと交わり、またパリに移住(1797~1799)し、スペインなどに旅行して人文主義的教養と言語研究の深化を目ざした。ローマ駐在プロイセン公使(1801~1808)を経て、内務省文教局長となり(1809~1810)、人文ギムナジウムを創設し、ベルリン大学創立に尽力するなど、古典教育を柱とする全人教育を目ざした学制改革に取り組んでプロイセン改革一翼を担った。1810年オーストリア大使となり、ウィーン会議ではハルデンベルクとともにプロイセン代表として活動した。イギリス大使などを務めたのち、1819年国務相となったが、カールスバート決議に反対し、個人の自由を基礎とする憲法制定を主張してハルデンベルクと対立し、同年職を免ぜられた。以後は学問研究に専念したが、とくに比較言語学的研究に基づく言語哲学は、彼の最大の学問的業績となった。

[岡崎勝世 2018年7月20日]

『亀山健吉著『フンボルト』(中公新書)』

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