水面上に浮かんで位置を標示する浮体をいい,標示内容や方法に応じて浮標,浮環,浮具などとも呼ばれる。ブイには航路標識の浮標や係船浮標のように係留されるものと,救命浮環のように係留されないものとがある。航路標識の浮標は航路や暗礁などを示すもので,その存在とともに種別を明確に示す必要があるため,塗色や形状が浮標式により定められている。係船浮標は係留される船舶の運動範囲を制限し泊地の限られた水面を有効に利用するために用いられるもので,浮標係留鎖の水面上の端部を示す。円台形などの形状をした浮体,船舶の係留力により変位することのない十分な抵抗力をもったおもりや複数個の錨,係留鎖その他で構成されている。救命浮環は転落者などを水中で支えるために応急に使用される環状の浮体である。浮力が十分あることおよび発見されやすい色をしていることが必要であり,他の救命設備と同様にだいだい色に塗色されることが多い。
執筆者:鶴田 三郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
浮標(ふひょう)ともいう。航行援助用として錨(いかり)や錘(おもり)によって海底につなぎ、海上に浮かべた構造物で、船舶に岩礁、浅瀬(あさせ)などの障害物の存在を知らせたり、航路を示すために用いられる。夜間にも有効なように灯光を発するものを灯浮標、灯光を発しないものを浮標といい、何を示すかは浮標式によって定められている。霧などで視界の悪いときにも役だつように、波浪によって吹鳴するホイッスル、波浪で標体が動揺することによって打鳴する鐘、電気振動により定められた周期で音を発する電気ホーン、レーダー波の反射効果をよくするためのレーダー反射器を付設した浮標もある。
「ブイ」ということばは、ほかにも、船舶を係留する係船ブイ、錨の位置を示すためのアンカーブイなどのほか、かならずしも海底につながれていないラジオブイ(遭難信号自動発信器)などと用いられることもある。
[川本文彦]
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…科学的な計測では追試できることが必須の条件で,これらの測定法の相互の比較較正が行われることはいうまでもない。測器を搭載するプラットフォームとして,観測塔,観測船,潜水調査船,航空機,人工衛星,そして漂流ブイや係留ブイなどのブイシステムが使われる。大別して,観測塔や係留ブイのように,ある地点のデータを長期にわたって集めるものと,観測船や潜水調査船などのように通常広い範囲の瞬間のデータを集めるものとがある。…
※「ブイ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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