翻訳|bluestocking
本来は18世紀イギリスの一部のインテリぶった女性たちに与えられた蔑称。E.モンタギューがそのグループの指導者と目されていた。語源については諸説があるが,J.ボズウェルが《サミュエル・ジョンソン伝》(1791)で語るところによると,18世紀の終りごろ,エリザベス・ビージーなる女性のサロンで,インテリ女性たちの夕べの会合がしばしば開かれ,主として文学や芸術に関する高級な議論が交わされていた。男性側からも時の名士が招かれて会話に加わったが,そのなかでベンジャミン・スティリングフリートなる紳士が,普通一般の黒絹の靴下ではなく,青色のウールの靴下をはいて人目をひいた。やがてこれが,その種の会合をもつインテリ女性たちにあてはめられるようになった,という。いずれにせよ18世紀以降は,文学や芸術に興味をいだくインテリ女性に対して冷やかし半分に与えられる呼称として定着した。日本では〈青鞜派〉と訳され,平塚らいてうらは自分たちの機関誌を《青鞜》と名づけることによって,むしろ女性の知的独立宣言という,肯定的な意味合いを強調している。
執筆者:川崎 寿彦
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青鞜(せいとう)。知的で文学趣味のある女性。1750年ごろモンタギュー夫人を中心とするロンドンの社交夫人たちが遊興的な集いを知的なものにしようと意図し、講師の一人スティリングフリートが黒色のかわりに青色のストッキングをはいてパーティーに出席したことから、このグループの呼び名となった。これが女性の地位向上、参政権運動の端緒となる。わが国では平塚らいてうを中心とする女性運動グループ「青鞜社」の誕生を促した。
[船戸英夫]
…夫の家をロンドンの知性とファッションの中心にしようと努めた。彼女のサロンは〈ブルーストッキング〉とあだ名され,E.バークやH.モアなど当時の文人が多数出入りした。夫の死後もサロンの女主人として活躍するとともに,シェークスピアに関する評論の中でボルテールを攻撃するなど,みずからの文筆活動も旺盛だった。…
※「ブルーストッキング」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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