翻訳|Protestant
新教徒。新教(Protestantism)をもさす。宗教改革によりカトリック教会から分離した近代キリスト教の信徒の総称。この名は,1529年の第2回シュパイエルの国会で福音主義を奉ずる帝国諸身分が「抗議書」(protestatio)を提出したことに由来する。ルター主義,カルヴァン主義の諸派,イングランド国教会の信者などを含む。その奉ずる教義は,基本的な点で,カトリックの功績思想や自由意志説を否定し,聖書を信仰の唯一の規範として,福音への信仰のみが救いを獲得せしめると説く。礼拝儀式の面ではサクラメントを洗礼と聖餐(せいさん)だけに限定し,説教に主眼を置き,教会行政のうえでは教皇権と教会法を否定する。当初は世俗権力との結合による教義的不寛容がしばしばプロテスタント諸派の抗争を招いたが,啓蒙主義時代をへて政教分離と寛容の方向へ向かった。
出典 山川出版社「山川 世界史小辞典 改訂新版」山川 世界史小辞典 改訂新版について 情報
出典 旺文社世界史事典 三訂版旺文社世界史事典 三訂版について 情報
…広義のキリスト教とは,これらキリスト信者が受けいれている教え,およびこの教えの実践を通じて,またその影響の下に生みだされた道徳,文化,制度などの総体を指す言葉である。こんにち,キリスト教はカトリック教会,プロテスタント諸教派,東方正教会の3グループに大別され,総数約10億のキリスト信者が全世界に拡散,居住している。
【キリスト教のシンボル】
キリスト教がはじめて日本に伝えられてから4世紀半,明治初年,布教の自由が再び認められてから1世紀以上経過したが,キリスト教はいまだに,全般的にいって,外来の異質な宗教という印象を脱していない。…
… 《ドイツ国民のキリスト教貴族に与う》は,ルターが初めてドイツ人としての国民意識に立って,ローマ教皇勢力によるあくどい財政的収奪や,聖職売買,そのほか国民生活を圧迫し正しい信仰をそこなうさまざまな悪弊を列挙し,教会当局者が無能を暴露している現在,統治権力を神にゆだねられた貴族(実際には領邦君主たるドイツ諸侯)に,教会生活全般の改革をたすけるよう呼びかけたものである。そこにはまた,聖職者の独身制や,一般に特権的な身分としての聖職者の否定,つまり,いわゆる〈万人祭司主義allgemeines Priestertum〉の理念が,聖書にもとづいて展開されているが,プロテスタント教会のありかたを深く規定したこの根本理念は,《キリスト者の自由》においても,〈信仰義認論〉をふまえつつ,改めて強くうち出された。ルターにとって〈自由〉とは,律法の前で露呈される罪からの解放,キリストの福音への信仰のみによって神の前に義とされた,キリスト者の霊的・内的な自由のことであり,かかるキリスト者は,肉的・外的存在としては,自由な魂の喜びにあふれて,隣人への奉仕に身をささげる神の僕だと説いたのである。…
…この決定に対して,ザクセン選帝侯やヘッセン方伯らは抗議書を提出した。それには14の帝国都市も従ったが,この抗議(プロテスト)に立ち上がった者に対してプロテスタントの名称が与えられ,それ以降,それはルター支持者の呼称となった。次いで軍事的にも対抗するために,彼らはシュマルカルデン同盟へと結集していった。…
※「プロテスタント」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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