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プロレタリアート独裁 プロレタリアートどくさい

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

プロレタリアート独裁
プロレタリアートどくさい

マルクス主義の革命理論の中心概念であるが,マルクスは『共産党宣言』においては二段階革命にとらわれてプロレタリアート独裁については何も触れていない。だが「共産主義者同盟中央委員会への回状」や『フランス階級闘争』などで L.ブランキの唱えた永続革命論プロレタリアート独裁論を積極的に評価しはじめた。

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百科事典マイペディアの解説

プロレタリアート独裁【プロレタリアートどくさい】

プロレタリア革命によって樹立される権力形態。資本主義社会から社会主義社会への変革の過程で生まれる。この時点ではプロレタリアートが社会の多数者であると考えられ,プロレタリアート独裁は多数者の少数者(ブルジョアジー)に対する独裁であり,プロレタリアートの利益を擁護し,その政治的・経済的支配権を確立する新しい型の民主主義プロレタリア民主主義)であるとされる。
→関連項目一党制階級闘争共産党人民民主主義ソビエトソビエト連邦独裁フランス共産党マルクス=レーニン主義

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

プロレタリアート独裁
ぷろれたりあーとどくさい

ドイツ語のDiktatur des Proletariats、英語のdictatorship of the proletariatの訳語。マルクス主義の用語で、資本主義社会から社会主義社会への過渡期における労働者階級国家権力の本質を表す、論争的な概念。マルクス、エンゲルスにより初めて用いられ、レーニンにおいて確立された。その後のマルクス主義政治理論においても、その承認がマルクス主義者であることの試金石たる枢要な位置を占めてきたが、この術語が生まれ使われてきた歴史的条件の変化や、「ディクタトゥーラ」という語に付きまとう個人独裁的イメージ暴力革命的イメージを顧慮して、この概念は不要であり放棄すべきであるとする説や、「ディクタトゥーラ」を「執権」と訳して独裁イメージを払拭(ふっしょく)しようとする試みも現れた。革命運動、共産主義運動のなかでも決定的重みをもってきた術語であるが、国民多数の合意による平和革命と民主主義的な社会主義を目ざすいわゆるユーロコミュニズム系の共産主義政党のなかでは、イタリア共産党、フランス共産党、スペイン共産党などが1970年代に相次いでこれを公式に放棄し、日本共産党も、綱領中に含まれていた「プロレタリアート独裁」の語をいったん「プロレタリアート執権」と改訳した(1973)のち、1976年には綱領から削除した。1989年の東欧革命、91年のソ連解体で、レーニン型革命論が総体として崩壊したために、プロレタリアート独裁そのものが自由と民主主義を抑圧する根拠となっていたことが明らかになった。[加藤哲郎]

概念内容と歴史

マルクスとエンゲルスは、唯物史観と剰余価値理論を創出し、資本主義社会の内部に生まれながら資本主義を打倒し、きたるべき社会主義社会の主人公となる一つの階級、プロレタリアート(労働者階級)をみいだした。プロレタリアート独裁の観念は、この社会主義思想の発展過程で採用され、流布された。マルクスがこの語を初めて用いたのは、『フランスにおける階級闘争』(1850)での「必然的な過渡点としてのプロレタリアートの階級的独裁」への言及であるが、1848年のフランス二月革命過程の描写のなかで「大胆で革命的な闘争スローガンが現れた。ブルジョアジーの転覆、労働者階級の独裁!」と記しているように、もともとはパリの社会主義者たちが革命スローガンとして1840年代に用いていたものであった。カベー、ブランキらはこれを共産主義への過渡期に不可避な必要悪としての強力な個人による全権力の支配として考えていた。
 マルクスは、この観念を、プロレタリアートという階級を主体とした、全権力機構の掌握の意味で採用し、「資本主義社会と共産主義社会との間には、前者から後者への革命的転化の時期がある。この時期に照応してまた政治上の過渡期がある。この時期の国家は、プロレタリアートの革命的独裁以外のなにものでもありえない」(『ゴータ綱領批判』)とその歴史的過渡的性格を述べている。同時にそれが、1848年革命やパリ・コミューンの内戦的・強力的イメージとも結び付いていたことは、その「ブルジョア独裁」についての言及などから見て取れるし、プロレタリア独裁の第1条件を「プロレタリアの軍隊」としていた(『国際労働者協会創立七周年祝賀会での演説』)ことからもうかがいうる。ただし、エンゲルスが「民主的共和制は、すでに偉大なフランス革命が示したように、プロレタリアートの独裁のための特有な形態ですらある」(『エルフルト綱領批判』)とする場合には、強力的形態の側面よりも階級的本質に即して述べているのである。普通選挙権拡大がなお革命運動の主要な課題であった19世紀段階では、暴力革命的見通しが支配的であり、労働者階級の政治権力の本質規定と形態規定は未分化なままにプロレタリアート独裁概念に含まれていた。
 プロレタリアート独裁が、マルクス主義革命理論の試金石として確立されるのは、レーニンにおいてである。レーニンは、「プロレタリアートの革命的独裁はブルジョアジーに対するプロレタリアートの強力によって闘い取られ維持される権力であり、どんな法律にも拘束されない権力である」(『プロレタリア革命と背教者カウツキー』)という有名な規定にみられるように、暴力革命や「旧国家機構の粉砕」と不可分にこの概念を繰り返し用い、『国家と革命』などで、社会民主主義と区別される共産主義者の絶対的立脚点とした。レーニンの指導のもとに創設されたコミンテルンは、その加入条件として「プロレタリアート独裁の承認」を掲げ、世界の共産党はこの概念を認めることにより初めて形成され、国際的に波及していった。同時にレーニンやコミンテルンは、ブルジョア民主主義をブルジョア独裁として、このなかに議会制民主主義の観念をも包摂し、ロシア革命で成立したソビエト型国家形態をプロレタリアート独裁の具体的形態とした。レーニン死後、スターリンによる「レーニン主義」の規定によりこの観念はいっそう神聖化され、「世界革命=プロレタリアートの世界独裁樹立=ソビエト社会主義共和国世界連邦の形成」(『コミンテルン綱領』)として揺るぎないものとなった。[加藤哲郎]

現代的問題

「独裁」の語は、古代ローマ共和制のディクタトル=執政官に由来し、戦時危機における国政の権限集中の意を含んでいた。フランス革命期には、それは文字どおりの個人的専制の意味で日常語化し、恐怖政治的イメージが付きまとうものとなっていた。「プロレタリアート」の語も、古代ローマの、政治的に無権利で兵役義務もなく子供(プロレス)を産むだけの無産者プロレタリウスに由来し、基本的生産手段を奪われ自己の労働力を販売して近代市民社会の最下層に沈殿し無権利状態にある貧民労働者として用いられていた。この二つの術語の結び付いたプロレタリアート独裁は、いかにマルクスらが労働者階級の政治支配として日常語から区別して概念性を与えたにしても、近代西欧社会で根づいてゆくことは当初からさまざまな困難が付きまとった。1891年のドイツ社会民主党エルフルト綱領草案に対し、エンゲルスが「プロレタリアート独裁の語を使用することを提案しなかった」と批判しなければならなかったのも当然であった。革命運動がこの語を採用し広めていったのは、後進国ロシアでの革命の勝利と結び付き、ソビエト型国家として現出したことによってであった。
 1956年のスターリン批判以後、西欧においてプロレタリアート独裁の観念が動揺してくるのは、この歴史的背景から理解される。プロレタリアートとしての労働者階級は、すでに普通選挙権を獲得し、「無産者」のイメージでは把握しがたく、内部では工場労働者に比してのサービス労働者・ホワイトカラーの増大が進行していた。そのうえ「プロレタリアート独裁の典型」とされてきたロシア・ソビエト社会の自由や民主主義の制限は広く知られるところとなり、1989年の東欧革命、91年のソ連崩壊によって、最終的に政治用語としての意味を失った。今日では、プロレタリアート独裁の概念は、中国、ベトナムなど現存社会主義諸国やマルクス主義者の研究用語として用いられるのみである。[加藤哲郎]
『レーニン著、全集刊行委員会訳『プロレタリア革命と背教者カウツキー』(大月書店・国民文庫) ▽不破哲三著『科学的社会主義研究』(1976・新日本出版社) ▽中野徹三著『マルクス主義の現代的探究』(1979・青木書店)』

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