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ヘルメス文書 ヘルメスモンジョ

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デジタル大辞泉の解説

ヘルメス‐もんじょ【ヘルメス文書】

《〈ラテン〉Corpus Hermeticumヘレニズム時代にエジプトを中心に流布された文書群。グノーシス主義をはじめとして、この時代の宗教・哲学・科学思想のほとんどすべてを含んでいる。

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百科事典マイペディアの解説

ヘルメス文書【ヘルメスもんじょ】

紀元前後5,6世紀のあいだにエジプトで執筆された文書群。英語でHermetica。ヘルメス・トリスメギストスの教えと称することからこの名がある。《コルプス・ヘルメティクム(ヘルメス選集)》を代表とする哲学・宗教的著作,占星術錬金術,魔術その他を扱う著作が伝存する。
→関連項目古代神学

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世界大百科事典 第2版の解説

ヘルメスもんじょ【ヘルメス文書 Hermetica】

前3~後3世紀ごろ,エジプトのナイル沿岸都市で執筆された匿名の文書群で,ヘルメスの名を掲げている。ヘルメス文書の作品とみなすか否かは,内容上の基準で決めるより,導師ヘルメス・トリスメギストスが弟子に教えを伝授する形式によっているかどうかで判断されてきた(ただし例外もある)。古代のヘルメス文書は膨大な量に上ったらしく,20世紀中葉,上エジプトで発見されたナグ・ハマディ文書(ナグ・ハマディ)の一部もヘルメス文書である。

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大辞林 第三版の解説

ヘルメスもんじょ【ヘルメス文書】

紀元前三世紀から紀元後三世紀にかけて、エジプトのナイル川沿岸の都市で書かれた文書群。師ヘルメス=トリスメギストスが弟子に教える形式をとる。グノーシス主義から汎神論的一元論をも含み、新プラトン主義や錬金術に影響を与えた。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ヘルメス文書
へるめすもんじょ
Hermeticaラテン語

紀元前3~後3世紀ごろ、エジプトのナイル沿岸都市で執筆された文書群。普通、導師ヘルメス神が教えを伝授する形式で構成されている。文書の相当部分は散失したが、伝存しているものによって教えの内容を分類すると、哲学、宗教、占星術、錬金術、魔術などとなる。全体として、ギリシア思想を土台としつつエジプト固有の要素も加味した、ギリシア語の文学であるといえる。架空の著者ヘルメス神は、ヘレニズム時代によくみられる混交宗教型の神で、ギリシア神話エジプト神話を背景にことばや学問をつかさどる者とされる。しかし実際の著者は、たとえばエジプトのアレクサンドリアなどヘレニズム都市で知識階級をなしていた神官たちではなかったかと推定される。興味深いことに、古代キリスト教の指導者はしばしば、ヘルメスをモーセと同等の預言者とみなしたり、ヘルメス文書を援用したりしている。アウグスティヌスのように一定の警戒心を示した場合もあるにせよ、ヘルメス文書がヨーロッパ文化史のなかに流入して少なからぬ影響を及ぼし、ルネサンス期に大流行となったその遠源は、すでに古代にあったものと思われる。[柴田 有]
『荒井献・柴田有訳『ヘルメス文書』(1980・朝日出版社) ▽柴田有著『グノーシスと古代宇宙論』(1982・勁草書房) ▽有田忠郎訳『ヘルメス叢書』(1977~79・白水社) ▽清水純一著『ジョルダーノ・ブルーノの研究』(1970・創文社)』

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世界大百科事典内のヘルメス文書の言及

【錬金術】より

…こうして,エジプトのアレクサンドリアを中心に,前3世紀ごろから錬金術思想が定着しはじめた。 まわりをとりかこむ赤茶けた不毛の土地とは対照的な大河ナイルのもたらす豊饒のシンボルとしての黒土,こういう〈黒〉から出発する〈大いなる術〉としての錬金術は,また一般に〈ヘルメスの術(オプス・ヘルメティクムopus Hermeticum,ヘルメティカHermetica)〉,ないし〈ヘルメス=トートの術〉とも呼ばれた。トートはエジプト古来の技芸をつかさどる神で,死者の魂の導き手,ヘルメスはギリシア神話の神々の使者であり,かつ死者の魂を地下のハデスへ導く神(プシュコポンポス)でもあった。…

【フィチーノ】より

…ここでフィチーノは,古典手稿の研究翻訳に着手し,《オルフェウス頌歌》やプロクロス,ヘシオドスの神学的作品などを訳了した。なかでも錬金術の原典としてのヘルメス文書から訳出(1471)された《アスクレピオス》や《ポイマンドレス》は,当時の人々に争って読まれた。1463年にはプラトンの全著作の翻訳を始め,それらは注解を付されて84年に出版され,ここに初めてプラトンの全貌がヨーロッパに紹介されることになった。…

【ヘルメス思想】より

…かつ歴史的経過の中で,キリスト教,ユダヤ教,マニ教,イスラム教など各宗教の神秘主義と結びつき,また変形をとげた。しかし《コルプス・ヘルメティクム》という基本文献の集成と5世紀にストバイオスが集めた断片集があり,初期のキリスト教批判者たちの報告やアプレイウスが訳したと信じられたラテン語訳《アスクレピオス》が残っており,1945年にナグ・ハマディで発見されたコプト語文書の中にヘルメス文書が含まれることがわかって,初期の思想についてはほぼ明らかになりつつある。それも種々の思想や教理を含み多様なのであるが,ヘルメス思想の基本部分は次のように言えよう。…

【ヘルメス・トリスメギストス】より

…そこから,ヘルメス・トリスメギストスの名を掲げる学問・芸術・技術の諸成果が現れ,古代からルネサンスのヨーロッパおよびイスラム圏にわたっている。その発端をなすものがヘルメス文書(前3~後3世紀)である。これはエジプトで執筆された。…

【錬金術】より

…両神の習合がヘレニズム時代に進み,アレクサンドリアを中心に,ヘルメスという名を冠する者たちがあらわれて〈ヘルメス=トートの術〉を伝授した。現存する〈ヘルメス文書〉(3世紀)に出てくるヘルメス・トリスメギストス(〈3倍も最も偉大なるヘルメス〉の意。ロゼッタ・ストーンには単に〈偉大なる〉が2回くり返されているのみ)がこの術の始祖とされ,やがて3世紀ころには最高の知恵の所有者として崇拝されるようになった。…

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