ヘンリーの法則(読み)ヘンリーのほうそく(英語表記)Henry's law

精選版 日本国語大辞典 「ヘンリーの法則」の意味・読み・例文・類語

ヘンリー‐の‐ほうそく ‥ハフソク【ヘンリーの法則】

連語〙 (ヘンリーはHenry) 気体液体にとけるとき、その溶解度圧力に比例するという法則。一八〇三年イギリスの化学者W=ヘンリーが発見した。

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デジタル大辞泉 「ヘンリーの法則」の意味・読み・例文・類語

ヘンリー‐の‐ほうそく〔‐ハフソク〕【ヘンリーの法則】

一定温度で一定量の液体に溶ける気体の質量は、圧力に比例するという法則。1803年、W=ヘンリーが発見。

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改訂新版 世界大百科事典 「ヘンリーの法則」の意味・わかりやすい解説

ヘンリーの法則 (ヘンリーのほうそく)
Henry's law

気体が液体に溶けるときの溶解度(気-液平衡の一種)についての法則で,1803年にイギリスの化学者W.ヘンリーが提出した。それによると,温度一定の条件下における気体成分Bの溶解度は,気相中のBの分圧pBに比例する。

 pBKxB

ここで,xB溶液中に溶けている成分Bのモル分率Kは圧力にはよらないが温度に依存する定数ヘンリー定数)である。この法則が十分によく成立するのは,気相の圧力があまり高くなく,気体が理想気体の法則を少なくとも近似的に満足し,かつ気体の溶解度があまり大きくなく,溶液が十分に希薄な場合である。いいかえれば,気相や溶液相の性質が理想的であるほどヘンリーの法則が厳密に成立する。溶液の濃度がある程度以上高く,粒子間に働く相互作用を無視できないときや,気体分子と溶媒分子との間に化学的な反応がおこるような場合には,ヘンリーの法則からのずれがみられる。この法則からのずれを測ることによって,溶液中の成分Bについての非理想性を表すことができる。溶液中の溶媒の蒸気圧降下に関する〈ラウールの法則〉や,2種の液相間における溶質の分配に関する法則(分配律)などと密接な関連をもっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヘンリーの法則」の意味・わかりやすい解説

ヘンリーの法則
へんりーのほうそく
Henry's law

1803年、イギリスのW・ヘンリーにより発見された、気体の液体に対する溶解度に関する法則。「圧力によらず気体が液体に溶解する体積は一定である」あるいは「気体の飽和溶解度は圧力に比例する」という表現がとられる。実在の気体に関しても、濃度や圧力があまり大きくない範囲においてはかなりの近似で成立することがわかっている。

 理想気体の法則から、熱力学的に導くこともできるが、このヘンリーの法則とボイルの法則を組み合わせると、「平衡にある気相と液相との間における気体の濃度比は一定である」という法則が導ける。これは分配の法則partition lawあるいは分配律という。

山崎 昶]

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百科事典マイペディア 「ヘンリーの法則」の意味・わかりやすい解説

ヘンリーの法則【ヘンリーのほうそく】

一定温度のもとで液体に溶解する気体の量(質量)は,その液体と平衡状態にあるその気体の分圧に比例するという法則。1803年W.ヘンリーが発見。気体の圧力や溶解度があまり大きくない限り近似的に成立する。理想気体を前提として熱力学的にも導かれる。
→関連項目溶解度

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヘンリーの法則」の意味・わかりやすい解説

ヘンリーの法則
ヘンリーのほうそく
Henry's law

温度が一定のとき,一定量の液体に溶解する気体の質量はその気体の圧力 (分圧) に比例するという法則。 1803年 W.ヘンリーが発見した。この関係ラウールの法則からも導かれる。気体の圧力が小さく,溶解度も小さい希薄溶液では近似的によく成立するが,アンモニアや塩化水素のように溶解度の大きいものではこの法則は成立しない。

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化学辞典 第2版 「ヘンリーの法則」の解説

ヘンリーの法則
ヘンリーノホウソク
Henry's law

気体の溶解度に対する圧力の影響について,一定体積の溶媒に溶解する気体の質量は,温度一定のもとではその溶液と平衡にある気体の圧力に比例するという法則.

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ダイビング用語集 「ヘンリーの法則」の解説

ヘンリーの法則

「ある温度において液体に溶解する気体の量は、気体の分圧にほぼ正比例する」という法則。窒素が身体の組織に溶け込むことが原因になる減圧症には、温度と圧力が関係することがこの法則により説明される。

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法則の辞典 「ヘンリーの法則」の解説

ヘンリーの法則【Henry's law】

一定温度で一定容量の液体に溶解する気体の質量は,液体と平衡にある気体の圧力に比例する.

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