ベッティ(その他表記)Ugo Betti

改訂新版 世界大百科事典 「ベッティ」の意味・わかりやすい解説

ベッティ
Ugo Betti
生没年:1892-1953

イタリアの劇作家パルマ大学法科卒。第1次世界大戦に志願兵として従軍し,捕らえられてドイツ国内で虜囚生活を送る。詩集《物思う王様》(1922)はこの間の産物。戦後法曹界にありつつ戯曲《女主人》(1926)で劇壇にデビューし,生涯25編の戯曲を残した。作風は象徴的リアリズムといわれ,代表作に《裁判所腐敗》(1949)など原罪の宿命を負った孤独な人間の姿を解明する一種の審判劇や,両性の非情な相剋を描いた《牝山羊の島の犯罪》(1950)がある。ほかにロマンティック・コメディ《9月のすばらしい日曜日》《われらの夢》(ともに1937)の佳品も忘れがたい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ベッティ」の意味・わかりやすい解説

ベッティ
べってぃ
Ugo Betti
(1892―1953)

イタリアの詩人、劇作家。カメリーノに生まれる。大学は法科を卒業。第一次世界大戦の激戦地カポレットで捕虜となる。戦後は判事を務めるかたわら詩集『沈思の王』(1922)、短編集『カイン』(1928)を書く。寓話(ぐうわ)的・象徴的な主調にリアリスティックな筆致がさえる。本領は戯曲で、1927年『女主人公』で劇文学賞を受賞、以後『鴨(かも)の猟人』(1940)、『監査』(1947)などを発表。舞台を法廷に見立てて現代人の罪や矛盾や悲劇性をえぐるが、大詰には救いがある。晩年には『牝山羊が島の犯罪』(1948)、『裁判所の腐敗』(1949)を書き、性や権力をめぐる暗闘を描いた。『焼けた花壇』(1952)が遺作となった。

[花野秀男]

『赤沢寛訳『牝山羊が島の犯罪』(『世界文学大系95』所収・1965・筑摩書房)』『里居正美訳『裁判所の腐敗』(『現代世界演劇12』所収・1971・白水社)』

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ベッティ」の意味・わかりやすい解説

ベッティ
Betti, Ugo

[生]1892.2.4. カメリーノ
[没]1953.6.9. ローマ
イタリアの劇作家,詩人,小説家。法学を専攻。第1次世界大戦に志願兵として参加,捕虜となり,収容所でガッダやテッキらの作家と知合う。初めメーテルランクの影響の強い,退廃的ロマン主義の詩を書いた。戦後,司法官となってパルマやローマに赴任。最初の戯曲『女主人』 La padrona (1927) で成功を収めた。司法官としての特異な立場から社会悪を告発し,ピランデッロ以後最大の劇作家といわれる。おもな作品に『裁判所の腐敗』 Corruzione a palazzo di giustizia (49) ,『牝山羊が島の犯罪』 Deitto all'isola delle capre (50) ,『女王と反逆者たち』 La regina e gli insorte (51) 。

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