企業が従業員の基本給の水準を一律に引き上げる賃上げの手法。年齢や勤続年数に応じ賃金を上げる定期昇給とは異なる。基本給は業績に左右されにくく、水準が上がれば従業員の生活安定につながる。一方、企業には恒久的な負担増となる。春闘の主要な争点とされる。連合による直近の中間集計によると、今春闘でのベアと定期昇給を合わせた平均賃上げ率は5・20%。最終集計でも5%台なら、1991年以来33年ぶりの高水準となる。
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1947年に片山哲内閣は賃金と物価の同時安定をはかる目的で,物価を第2次大戦前(1934-36年平均)の60~65倍,賃金を27~28倍とする暫定業種別平均賃金政策を打ち出し,1800円ベースと呼んだ。これ以降,賃金の引上げを求める労働組合の活動は主として平均賃金水準を内容とするベースbaseの引上げを指すこととなり,ベースアップと呼ばれるようになった。春闘の開始以後には定期昇給と区別される各企業の平均賃金水準の引上げもベースアップとされるようになり,ベースアップは賃上げの別名として定着した。用語としてはベースアップは和製英語であるが,その内容も日本独特の賃上げ方式である。職種など労働者集団の属性に応じた個別賃金決定を先行させるのではなく,特定企業の平均賃金水準の引上げをまず決定し,のちに配分交渉によって個別賃金を決定するからである。この場合,従業員数が同じであればベースアップ率は賃金総額の増加分と一致する。企業の賃金総額をまず交渉するベースアップ方式は,企業別労働組合の形態をとる日本では広く受け入れられた。
→賃金
執筆者:高木 郁朗
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…55年の総評大会で高野が岩井章(国労)と事務局長を争って敗れ退陣すると,公労協も参加する賃上げ闘争のための合同事務局(のち春闘共闘委員会)が設置され,春闘は総評の公式方針となる。
[欧米の賃上げ闘争との比較]
春闘を欧米の賃上げ闘争と比較すると,(1)欧米の賃上げ闘争が産業別組織を主体としているのに対して,産業別組織を全体として結集して統一的な指導部による全国的規模の闘争として組織されること,また交渉は産別ではなく企業別であること(私鉄総連のような重要な例外もあるが),(2)欧米では各産業ごとに職種別の最低賃率の引上げをめざすが,春闘では各産業の平均賃金の引上げ(ベースアップ)を目標とすること,(3)欧米では賃上げ闘争は通常2~3年ごとの協約闘争として展開されるのに対して春闘は毎年繰り返されること,などに大きな特徴がある。 また春闘では産業別ストライキが賃上げの武器とされるのであるが,日本では強力な産業別組合は少なく,実際には国労など公労協が実力行使の柱となった。…
…昇進や給与引上げ(俗にベースアップという)に伴って給与を増やす制度を指すこともあるが,専門用語ではこれと区別し,厳格に〈基本給部分について一定の基準で個人ごとに給与差がつくように加算する制度〉をいう。ここにいう一定の基準とは,過去のある期間(過去1ヵ年とする場合が多い)の出勤率や,技能・熟練度・必要知識・能力発揮度などを査定するために企業ごとに異なった考え方で作られる昇給率の設定法を指す。…
…第2次大戦後,日本の賃金交渉の特徴は,一つには企業別交渉が中心であること,二つには交渉が当該企業従業員の平均賃金の引上げをめぐる,いわゆるベースアップ方式であることにある。このベースアップ方式には,それが特定企業の労務費増額交渉にとどまり配分それ自体を交渉するものではないこと,また特定企業の支払能力に規制されやすく企業横断的な賃率形成を阻害する傾向にあることなどの問題がある。…
※「ベースアップ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
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