改訂新版 世界大百科事典 「ホオノキ」の意味・わかりやすい解説
ホオノキ (朴の木)
Japanese white bark magnolia
Japanese umbrella tree
Magnolia hypoleuca Sieb.et Zucc.
山野に普通なモクレン科の落葉高木。枝先に大きな葉が輪生状について傘のようで,その先に白い大きな花をつけ,強い芳香を放つ。高さ30m,胸高直径1.2mもの大木になる。枝はまばらにつき,その間を長さ80cmにもなる倒卵形の大きな葉がうめる。主として河川沿いの土壌の深い平坦地に見られる。日本固有で南千島,北海道,本州,四国,九州に分布する。材は軟質で均一なため細工がしやすく,家具調度品によく用いられ,また朴歯の下駄は有名。木炭も上質で金銀の研磨に使う。葉の芳香と大きいことを利用して,飯を盛ったり,有名な朴湯・朴葉味噌が作られ,地方によってはかしわもちとは朴葉餅を指す。近縁の中国産の厚朴(こうぼく)M.officinalisの樹皮は健胃剤等の漢方薬として有名だが,その代用に使われることもある。公園樹としても利用する。
執筆者:植田 邦彦
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報