ボランティア活動(読み)ボランティアかつどう(その他表記)voluntary action

改訂新版 世界大百科事典 「ボランティア活動」の意味・わかりやすい解説

ボランティア活動 (ボランティアかつどう)
voluntary action

一般市民の自由な意志に支えられた社会的な活動,あるいは各種民間団体の自主的な活動が,広い意味でのボランティア活動であるが,より限定的には社会福祉を目的とする事業や活動をさしており,その活動を行う人をボランティアvolunteerといっている。ボランティア活動は,政策主体としての国家の活動よりも,市民・大衆自発性にもとづく活動を高く評価するボランタリズム思想に支えられており,個人の自由と独立を尊重する近代社会において出現し発展してきたものにほかならない。近代社会の中に生成した貧困問題,老人問題,障害者問題,児童問題などに対して,19世紀以来,主として民間社会事業家およびボランティアがその解決に努力してきたが,その限界が明らかになるにつれて,こうした社会問題に対応する国家の機能が重要な意味をもつようになった。20世紀の前半は,社会福祉の政策化の時代として,公的責任の強調,制度化,有給職員化がすすみ,専門職制もしだいに確立してきた。しかし他方で,制度の不完全な部分を補完するという点で先駆的な役割を果たしてきたボランティア活動が,20世紀後半にはあらためてその意義を評価され,その重要性が問われるようになってきた。社会の変動が激しければ激しいほど,また福祉サービスへの期待水準が高まれば高まるほど,バラエティに富んだボランティア活動の存在意義が大きくなっているといえよう。

 日本の従来のボランティア活動については,いくつかの問題が指摘されてきた。たとえば社会福祉サービスそのものが地域福祉・在宅福祉サービスの方向へと十分展開していないために,ボランティアの活動範囲が限られており,施設偏重になったり単発的に終わったりしがちなこと,相手との連帯活動という精神が十分生かされずに善意押付けやボランティアの自己満足に終わってしまう場合も少なくないこと,活動する人々の層が学生や主婦にかたよっていること,などであった。しかし,1995年初頭の阪神・淡路大震災契機に,広域かつ多様に展開されたボランティア活動のうねりは,日本のボランティア活動をめぐる状況に大きな影響を与えるものであった。

 日本においても,時代を象徴する国際ボランティアの活動をはじめ,環境,平和,人権,政治,地域社会,文化,スポーツ,消費者問題,その他,市民的活動のあらゆる分野にわたってボランティア活動の舞台が拡大してきており,学生・主婦に加えて,企業の社会的貢献という観点からの勤労者の活動参加も増大している。こうした活動が真に現実の課題に即した展開を遂げるためには,ボランティアの育成や連絡調整を図るボランティア・センターなどの機関を充実したり,学校や生涯学習の場においてボランティア教育を意識的にすすめていく必要がある。
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百科事典マイペディア 「ボランティア活動」の意味・わかりやすい解説

ボランティア活動【ボランティアかつどう】

社会福祉,教育,保健などの事業に対し,自発的・自主的に行われる無償の奉仕活動。20世紀に入り社会福祉の政策化・制度化が進められたが,一方でボランティア活動の要請も少なからずあり,特に高齢社会(高齢化社会)を迎える日本では重視される。各地に教育・斡旋(あっせん)を行うボランティア・センターが設けられ,ボランティア休暇・休職制度を設ける企業も増加した。1995年の兵庫県南部地震の際の経験は,日本人のボランティア活動への意識を高めた。1998年,〈特定非営利活動促進法〉(NPO法)が成立し,任意団体であった多様なボランティア活動団体が法人格を持つことが可能となり,活動の継続性やノウハウの蓄積,交換が促進された。2011年3月の東日本大震災でも,多数のボランティアが被災地や全国で支援活動を展開した。
→関連項目国連ボランティアセルフヘルプグループ地域通貨ボランティア休業制度

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