マツバギク(その他表記)Lampranthus spectabilis(Haw.) N.E.Br.

改訂新版 世界大百科事典 「マツバギク」の意味・わかりやすい解説

マツバギク
Lampranthus spectabilis(Haw.) N.E.Br.

ツルナ科の多年生多肉植物。輝くような花を多数つけ,園芸的には多肉植物としてよりも花卉(かき)として栽培される。南アフリカのケープ州の原産で,明治の初期に日本に渡来し,暖地に広がった。茎はやや木質化し,カーペット状に群生する。葉は対生し,多肉質の線形で,やや3稜をなし,上向きに反り,基部は合着し,先端はとがり,長さ3~6cm。4~6月,茎の先端にふつう1花を頂生する。花径は5~7cm。花弁は多数で,一見キクの花に似るが,花の中心に多数のおしべと5心皮がある。花は日中開き,夕方閉じる。赤紫色以外に白や桃色の花も作出されている。マツバギク属Lampranthusはアフリカ南部から200種以上が記載されているが,どの種も形態的には大差がない。ランプラントゥス・アウレウムL.aureum N.E.Br.は黄金色の花を咲かせる。暖地では戸外で越冬する。つり鉢や石垣の間に植えこみ,しだれさせるとおもしろい。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツバギク」の意味・わかりやすい解説

マツバギク
まつばぎく / 松葉菊
[学] Lampranthus spectabilis N.E.Br.

ツルナ科(APG分類:ハマミズナ科)の常緑多年草。茎は直立もしくは匍匐(ほふく)性で、古くなると木質化する。葉は肥厚した多肉質で対生し、円筒または三稜(さんりょう)形。葉の接合部は合着する。花は5~6月、多数群がって開く。花径は約5センチメートル、キクに似ており、金属的な光沢がある。花色は赤、桃、橙(だいだい)、黄色などと豊富である。葉のつき方がマツに似ており、花形がキクに似るのでマツバギクの名があるが、全体をある種のサボテンに見立て、サボテンギクの名もある。繁殖は実生(みしょう)もできるが、普通は挿木による。用土は水はけのよいものにする。鉢植えまたは花壇植えにするが、耐寒性は強く、関東地方以西では簡単な霜よけで越冬できる。

[長田清一 2021年2月17日]


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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「マツバギク」の意味・わかりやすい解説

マツバギク(松葉菊)
マツバギク
Mesembryanthemum spectabile; ice plant

ツルナ科の多肉質常緑の多年草。サボテンギクともいう。南アフリカの原産で,日本には明治初期に伝えられ,鉢植にしたり,暖地では石垣などに植えられている。茎は円柱形で多肉,基部は木質化し,下部は横にはう。多くの枝が上向きに出る。葉は3稜形の多肉質で先端は針状にとがり,緑色で対生する。夏,茎の先端にキクの花に似た紅紫色の大型の美花を単生する。花柄の中部に葉状の包葉が対生する。花弁は線形で多数。おしべ多数,めしべの花柱は5本。花は朝,太陽の光を受けて開き,夕方には閉じる。果実は液質の 蒴果。種子はできにくいが,挿芽でふやせる。本種に似て全体が小型のヒメマツバギク M. tenuifoliumもしばしば栽培されている。

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百科事典マイペディア 「マツバギク」の意味・わかりやすい解説

マツバギク

南アフリカ原産のツルナ科の常緑多年草。茎は下部が木質でよく分枝して横に広がり,多肉質で3稜のある線形の葉を対生。夏,直立する長い柄の頂にキクに似た径4〜5cmの鮮紅紫色の花を日中に開く。花の構造は変わっていて,本来の萼・花弁がなく,仮おしべが発達して花弁状になっている。花壇や鉢植用に栽培されるが,暖地以外では冬,フレーム,低温室で保護が必要。さし芽でふやす。白花の変種もある。
→関連項目メセン

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世界大百科事典(旧版)内のマツバギクの言及

【メセン(女仙)】より

…花は直径4cmくらいで,花色は赤,桃,白,淡黄色がある。(2)多年生で有茎群 木質化した明瞭な茎があり,代表的な属にマツバギクLampranthus,デロスペルマ属Delosperma,オスクラリア属Oscularia,ルシア属Ruschia,トリコディアデマ属Trichodiademaなどがある。デロスペルマ属は約125種を含み,葉に半透明の乳頭状突起を持つ種が多い。…

※「マツバギク」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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