日本大百科全書(ニッポニカ) 「マツ科」の意味・わかりやすい解説
マツ科
まつか
[学] Pinaceae
裸子植物の常緑または落葉の高木または低木。葉は線形で先はとがるか浅く2裂し、脈が1本ある。雌雄同株。雄性の球花は多数の鱗片(りんぺん)からなり、各鱗片の内側に葯(やく)が2個ある。一般に花粉に気嚢(きのう)があり(ツガ属、トガサワラ属、カラマツ属を除く)、風によって飛散しやすくなる。雌性の球花は球形か楕円(だえん)形で、多くの包鱗とその内側にある種鱗からなり、各種鱗の内側に下向きの胚珠(はいしゅ)が2個ある。果期に種鱗は肥大するが、包鱗は肥大せず、膜質かあるいはほとんどなく、種鱗の内側に種子が2個ある。種子は一般には翼があるが、ハイマツのように翼のないものもある。北半球の温帯から寒帯に9属約250種、日本には6属23種分布し、3亜科に分かれる。モミ亜科は長枝と短枝の区別がなく、葉は枝に螺旋(らせん)状につき、球果の種鱗の縁(へり)は肥厚しない。モミ属、ツガ属、トウヒ属、トガサワラ属や、中国原産でときに栽培されるユサン属などがある。カラマツ亜科は長枝と短枝があり、葉は長枝では螺旋状につき、短枝では束生する。球果の種鱗の縁は肥厚しない。カラマツ属、ヒマラヤスギ属がある。マツ亜科は長枝には小さな鱗片状の葉しかなく、短枝には2、3または5枚の葉が対生または輪生し、球果の種鱗の縁は肥厚する。マツ属のみからなる。純林をつくるものが多く木材資源として重要な植物群である。分子系統に基づく分類でもマツ科とされている。
[山崎 敬 2018年5月21日]