出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
メキシコ南東部、ユカタン半島からベリーズ、グアテマラ北部のペテン地方、さらにホンジュラス、エルサルバドルにかけて居住する民族集団。言語はマヤ・トトナカ語群マヤンセ語族に属し、言語人口は約200万人。
スペイン人が最初に到来した16世紀初頭のユカタン半島は、マヤ後古典期文明ののち、各地に小首長の分立状態が続いていた。スペインの征服はいちおう、フランシスコ・デ・モンテホ父子らによって1646年までに行われたが、その後も1761年、1847年などに原住民反乱が起こっている。とくに1847年の反乱はカースト戦争として有名で、一部の勢力はユカタン半島南東部のジャングルに孤立し、約半世紀間もメキシコ政府に抵抗した。その後、メキシコ革命(1910~17)が起こり、1930年代に断行された農地改革は、原住民の生産や宗教的活動基盤に大きな影響を与え、マヤ固有の文化の消滅も進んでいる。
基本生業は焼畑耕作で、トウモロコシを中心に豆、カボチャ、トウガラシなどが栽培される。また、伝統的な養蜂(ようほう)業のほか、牧畜、果樹、北西部ではエネケン麻の製造が行われる。社会の基本単位は核家族で、かつての父系出自組織は解体している。カトリックに基づく聖人信仰が盛んだが、農耕儀礼には土着的な要素が残り、雨乞(あまご)い儀礼チャチャクはとくに重要である。マヤという自称のほかにメスティソとも自称し、その用法は、ラテンアメリカで一般的な白人とインディオとの混血者としてのメスティソとは異なる。
[石井 紀]
…ホンジュラスにあるマヤ遺跡。モタグア川流域にマヤ芸術様式のひとつコパン様式を生み出し,4世紀から9世紀に最も栄えた都市。…
…グアテマラのペテン地方にある低地マヤ最大の都市遺跡。棟飾のある神殿とそれを支える高いピラミッド,持送り式アーチでつくられた宮殿,建造物複合体群を結ぶ大通り,しっくい彫像による建築装飾,石碑の建立など,マヤ古典期の初めから中心的存在として栄えたが,900年ころ,他の低地マヤ諸都市と同様放棄される。…
…中央アメリカ,ユカタン半島からグアテマラ,エルサルバドルの太平洋岸までの地域に展開したメソアメリカの文化の一つ。オルメカ文化やサポテカ文化から継承し発展させた独特の文字体系,天文暦数,宗教体系,そしてマヤ自身の発明による持送り式アーチ工法による建築などがマヤMaya文化の特徴である。とくに古典期においてそれらの特徴は頂点を極めた。…
…山仕事をする者は一般に山中で猫ということばを用いることをきらい,津軽でマガリ,中国山地でも兵庫県でトリ,岡山県でチョウタ,広島県でジンタなどといいかえる。沖縄県先島地方では猫をマヤといい石垣島の神事ではマヤの神,トモマヤの神という二つの神が面を着けて現れ,海の彼方の世界からやってくるものと考えられていた。マヤは宮古島では一般に野猫をいい,道であうことを恐れ,目を見合わせることを避けた。…
※「マヤ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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