翻訳|telepathy
超常現象の一つ。遠隔精神反応と訳す。ふつうは,遠く離れたところにいる人同士の間で起こる現象,たとえば,親しい人の死を遠く離れた場所にいて知るような現象をいう。C.G.ユングは,物理的時間・空間の制約をこえた超越的な次元が存在し,そのような高い次元を通じて超常現象が起こるものと考えた。彼はこのメカニズムを〈同時同調性(シンクロニシティsynchronicity)〉とよんだ。つまり,物理的法則の支配する次元をこえた領域があり,人間の心の深層にはそのような次元で起こる現象を感じる能力が潜在しているので,時間と空間をこえた次元を通じて,同時に心と心が反応するものと考えられる。宗教的にいえば,心霊現象の一種であるともいえる。超心理学では,透視,テレパシー,予知の三つを同質の現象であると考え,まとめてESPとよぶ。透視は,心と物との間にはたらく超常現象であり,テレパシーは心と心の間にはたらく超常現象である。しかしJ.B.ラインの研究したところでは,テレパシーは,遠く離れた人の心と心の間で直接に起こる現象なのか,ESPによって遠く離れた物を透視することによって起こる二次的現象なのか実験的に確定することができないので,彼は,テレパシーとESPをまとめてGESP(general ESP)とよんだ。
テレパシーをとくに研究したのはソ連のレニングラード大学教授ワシリエフLeonid Leonidovich Vasil'evである。彼は,1700km離れたレニングラード(現、サンクト・ペテルブルグ)と黒海海岸の間のテレパシー実験に成功している。
→超常現象
執筆者:湯浅 泰雄
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超心理学の用語。言語、身ぶり、表情その他感覚的手掛りがまったくないと考えられる条件下で、他人の心的内容(考え・知覚内容・感情など)を感知すること。19世紀末イギリスの研究者マイヤーズF. W. H. Myers(1843―1901)により、思念伝達thought-transferenceの語にかわり、また、霊魂仮説にかわる意味を含みつくられた。
18世紀、催眠状態下の被術者が、施術者の経験している味覚や痛覚を感ずることがあること、遠方の被術者を思念だけで催眠に誘導したり覚醒(かくせい)させることができることが観察された。19世紀末、イギリス心霊研究協会は、人の死に際し、それを知らない人が、死者に関する幻覚を経験することが偶然以上の頻度であるとの調査結果を発表した。テレパシーの実験的証明はラインによって行われ、透視・予知の可能性を除いた純粋テレパシーの条件で成功している。テレパシーは透視・予知とともにESPに包括される。
[大谷宗司]
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…予知を最初に実験的に検証しようとしたのは,アメリカのラインであり,1933年のことである。当時ラインは,死後生存仮説を検討するための第1段階として,純粋テレパシー現象の実在を実験的に検証しようとしていたが,研究の進展に従い,その難しさに気がついた。その経過の中で副産物的に透視という現象が確認され,次いで,純粋透視の可能性を排除しつつ純粋テレパシーの検証を行おうとしたとき,実験終了後結果を集計すると,そのデータを予知的に知ってしまう可能性のあることが推定された。…
※「テレパシー」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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