精選版 日本国語大辞典 「マルサス主義」の意味・読み・例文・類語
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本来はマルサスが『人口論』(1798)で説いた人口と食糧との関係に関する学説をいう。マルサスによれば、人口はいつも食糧の限度以上に増加しようとする。だがさまざまの障害があってそれは抑えられる。第一は人口の増加率と食糧の増加率との違いから生ずる食糧不足(終極的制限)、第二は流行病、戦争、極端な貧困、激しい労働のような人間の寿命を縮める諸要因(積極的制限)、および、結婚を控えるといった意識的行為(予防的制限)である。どの国でも第二の直接的制限のうちのいずれかが作用して人口増加を抑えるから、終極的制限が作用するのは飢饉(ききん)の際のみである。それでもなお、人口は食糧以上に増加しようとしており、これが下層諸階級の生活改善を妨げている。資本主義の下での労働者の貧困は、社会制度によるのではなく人口法則に基づいている。マルサスは、W・ゴドウィンらの社会改革論に反対するため、以上のような主張を展開した。以後、過剰人口の脅威を唱える思想をマルサス主義とよぶようになった。
マルサスに対する批判は、いち早くマルクス、エンゲルスによってなされたが、以後もマルサス主義論争は絶えることがない。F・オッペンハイマーは『マルサスおよび新国民経済学の人口法則』(1900)で、マルサスに続く予言的マルサス主義者としてラベンスタインErnst Georg Ravenstein、ワーグナーAdolf Heinrich Gotthilf Wagner、リューメリンGustav von Rümelinなどをあげ、批判した。第二次大戦後は、いわゆる発展途上国の人口激増に伴う重圧がマルサス的問題の最たるものと考えられている。
[皆川勇一]
『T・R・マルサス著、高野岩三郎・大内兵衛訳『初版 人口の原理』(岩波文庫)』▽『R・L・ミーク編、大島清・時永淑訳『マルクス、エンゲルス マルサス批判』(1955・法政大学出版局)』▽『南亮三郎・館稔編『マルサスと現代』(1966・勁草書房)』
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