ネソ珪(けい)酸塩鉱物の一つ。高温・低圧条件下で安定する。針状ないし細柱状の結晶で珪線石(けいせんせき)と鉱物学的性質がよく似ているため、昔は区別がされていなかった。カナダのボーエンNorman Levi Bowen(1887―1956)がムル石相当の物質を合成して珪線石と別のものであることを発見した。その後スコットランドのマル島Isle of Mullで玄武岩に捕獲され高温の変成作用を受けた泥質岩片中から発見され、天然での産出が確認された。原産地以外でも、玄武岩、ドレライト(粗粒玄武岩)、斑糲(はんれい)岩中の捕獲岩片中、高温の接触変成作用を受けたアルミニウムに富む岩石中に産出例がある。日本では浅間山の捕獲岩中に産する。なお、耐火れんが、磁器、スラグslag(鉱滓(こうさい))などの中にはごく普通にムル石相当の物質が存在している。英名は原産地マル島にちなむ。和名は発音から本来なら「マル石」となるべきであるが、従来の慣習でムル石となっている。
[松原 聰]
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