メラミン(読み)めらみん(その他表記)melamine

翻訳|melamine

デジタル大辞泉 「メラミン」の意味・読み・例文・類語

メラミン(melamine)

尿素を高圧下でアンモニアと反応させるか、ジシアンジアミドを高圧下で加熱して得られる無色結晶熱水に溶ける。メラミン樹脂原料分子式C3H6N6

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精選版 日本国語大辞典 「メラミン」の意味・読み・例文・類語

メラミン

  1. 〘 名詞 〙 ( [英語] melamine [ドイツ語] Melamin ) 合成樹脂の原料とする無色柱状晶。分子式 C3H6N6 融点摂氏三四七度。ホルマリンと加熱重合して樹脂とするほか、布や紙などの耐水加工に使う。〔化学繊維(1951)〕

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知恵蔵 「メラミン」の解説

メラミン

プラスチック(メラミン樹脂)の原料となる化学物質。無色無臭の結晶で、化学式はC(3)H(6)N(6)。メラミンとホルムアルデヒドを反応させると、メラミン樹脂ができる。プラスチック製品をはじめ、建築資材や接着剤などに使われる工業用の物質だが、食品に混ぜるとタンパク質を多く見せかけることができるため、中国で牛乳などに混入される事件が相次いだ。
メラミンの食品混入事件の皮切りとなったのは、2007年、アメリカなどに輸出された中国製ペットフード原料にメラミンが添加され、それを食べた犬や猫が大量死した事件。続く08年にはメラミンが牛乳に直接混入される事件が中国で発生し、メラミンに汚染された粉ミルクを飲んだ乳児数人が死亡したほか、5万人以上が健康被害を訴えた。この問題は中国国内だけにとどまらず、汚染乳を原料とした食品、飼料などが広く海外に流通していることが判明。日本でも大手食品メーカーなどの菓子や惣菜をはじめ多数の食品にメラミンが混入していることが明らかになった。
メラミンは窒素を多く含んでおり、これを水で薄めた牛乳に混ぜると、タンパク質(窒素量)の多い良質な牛乳に見せかけることができる。そのため、牛乳生産量の水増しをもくろんだ中国の生産者らが意図的に混入したと見られている。日本でも、タンパク質成分の偽装目的で、家畜用飼料にメラミン関連物質であるアンメリンが混入されるという事件が1969年に起きている。
毒性農薬などと比べれば弱いが、大量に摂取すると、腎臓結石などの腎障害を引き起こす可能性がある。米国食品医薬品庁(FDA)では1日体重1kgあたり0.63 mg、欧州食品安全機関(EFSA)では1日体重1kgあたり0.5mg(関連物質含む)まで摂取しても健康への悪影響はないという安全基準(耐容一日摂取量)を設けている。日本では、メラミンが食品に使用されることはあり得ないとの観点から、こういった安全基準自体設けていない。
食品混入で急激に注目を浴びたメラミンだが、以前から消費者問題とは関わりの深い物質でもある。80年代、メラミン樹脂製の給食用食器から微量のホルムアルデヒドが溶け出すことが問題視され、メラミン容器の不使用運動が起きたこともある。
メラミン樹脂の国内生産量は14万トンと、プラスチック全体の1%程度。

(高野朋美 フリーライター / 2008年)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「メラミン」の意味・わかりやすい解説

メラミン
めらみん
melamine

複素環式アミンの一つ。シアヌルアミド(シアヌル酸アミド)、2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジンともよばれる。加圧下でジシアンジアミドと液体アンモニアとを反応させると得られる。無色の柱状結晶で、昇華性がある。熱水にはかなり溶けるが、冷水やエタノール(エチルアルコール)には溶けにくく、エーテルには溶けない。ホルムアルデヒドとともに加熱すると、重縮合してメラミン樹脂となるので、その原料として重要である。メラミン樹脂は耐水性、耐熱性などに優れているので、食器などの成形品、塗料などに用いられる()。

[廣田 穰 2016年11月18日]



メラミン(データノート)
めらみんでーたのーと

メラミン

 分子式 C3H6N6
 分子量 126
 融点  347℃(分解)
 沸点  昇華
 溶解度 0.32%(水20℃)

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化学辞典 第2版 「メラミン」の解説

メラミン
メラミン
melamine

1,3,5-triazine-2,4,6-triamine.C3H6N6(126.12).シアヌルアミドともいう.ジシアンジアミドあるいは尿素をアンモニア存在下で加圧,加熱するとつくられる.無色の柱状晶.融点354 ℃,昇華点300 ℃(6.7 kPa).1.573.Kb 1.1×10-9.熱湯,DMSO,エチレングリコールに可溶,アルコール類,ケトン,DMFに難溶.弱塩基性を示す.ホルマリンと反応してメチロールメラミンとなる.ホルムアルデヒドと反応して熱硬化性樹脂(メラミン樹脂)となり,成形品,塗料,また繊維や木材,紙などの耐水加工用に広く用いられる.メラミン樹脂は,耐水性,耐熱性,耐薬品性,耐摩耗性,電気的性質にすぐれ,広く用いられている.[CAS 108-78-1]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

百科事典マイペディア 「メラミン」の意味・わかりやすい解説

メラミン

無色の結晶。融点250℃以下。熱水に可溶,アルコールに難溶。ジシアンジアミドHNC(NH2)NHCNをアンモニア存在下で加圧加熱してつくる。メラミン樹脂原料として重要。(図)
→関連項目アンモニア合成フェノール樹脂メラミン樹脂

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「メラミン」の意味・わかりやすい解説

メラミン
melamine

2,4,6-トリアミノ-1,3,5-トリアジンのこと。普通工業的には尿素をアンモニアの存在下で加熱して製造される。無色柱状晶。融点 347℃ (分解) 。熱水には可溶,エチルアルコールに難溶。ほとんどがメラミン樹脂原料に用いられる。

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