翻訳|mendelevium
アクチノイドに属する超ウラン元素の一つ。原子番号101、元素記号Md。101番の元素となるところから、周期律・周期表の提出者であるロシアのメンデレーエフを記念して命名された。
1955年アメリカのシーボーグらのカリフォルニア大学グループが、アインスタイニウム253を加速ヘリウムイオンで衝撃してメンデレビウム256を得た。現在でも元素の性質などはほとんど調べられていないが、水溶液中ではアクチノイドに典型的な酸化数+Ⅲのイオンとして挙動する。
[岩本振武]
周期表第ⅢA族に属するアクチノイドの一つ。1955年2月アメリカのカリフォルニア大学において,ギオーソA.Ghiorso,ハーベーB.G.Harvey,チャピンG.R.Choppin,トムソンS.G.Thompson,シーボーグG.T.Seaborgが,プルトニウムに中性子照射を行って生成した微量の253Esに,サイクロトロンで加速した41MeVのα粒子を衝撃して核反応を起こさせ,その生成物から101番元素の存在を確認した。このとき存在した元素の原子数は5個であったといわれる。このときの核反応は,であると考えられる。D.I.メンデレーエフの周期表が多くのアクチノイドの発見に大きな役割を果たしたことから,彼の名にちなんで命名された。メンデレビウムは人工的にごく少量しかつくられていないので,化合物も多く知られていない。3価の酸化状態が普通で,典型的なアクチノイド化合物をつくる。
執筆者:中原 勝儼
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
Md.原子番号101の元素.電子配置[Rn]5f 137s2の9番目に合成された周期表3族アクチノイド元素.周期律のD.I. Mendeleev(メンデレーエフ)にちなんで命名された.1955年,カリフォルニア大学(バークレー校)のG.T. Seaborg(シーボーグ),A. Ghiorsoらにより,253Es の60 inサイクロトロンによるα粒子衝撃で半減期77 min の質量数256の核種がつくられた.その後,わずか17原子のイオン交換-溶出クロマトグラフィーにより,ツリウムに性質が似ていることが確認された.第一イオン化エネルギー650 kJ mol-1(6.74 eV).酸化数1~3.現在,知られている同位体核種は,245~262の範囲に18種.質量数258のα崩壊核種がもっとも長寿命で半減期51.5 d.[CAS 7440-11-1]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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