ヤジュル・ベーダ(英語表記)Yajur-Veda

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヤジュル・ベーダ」の意味・わかりやすい解説

ヤジュル・ベーダ
Yajur-Veda

ヒンドゥー教の聖典ベーダ一つ祭祀で最も活躍するアドバリユ祭官に属する。祭祀において唱えられるヤジュス (祭詞) ,祭祀の準備,その過程における種々の所作献供に関する規定などを記述する。サンヒター (本集) の構成によって『黒ヤジュル・ベーダ』と『白ヤジュル・ベーダ』との2種に分けられ,前者が祭詞などに合せて,それらの説明解釈を主体とするブラーフマナ部分を含むのに対し,後者はブラーフマナ部分を含まない。前者には『タイッティリーヤ』 Taittirīya,『マイトラーヤニー』 Maitrāyaṇī,『カピシュタラカタ』 Kapiṣṭhalakaṭha,『カータカ』 Kāṭhakaの4種のサンヒターがあり,それぞれアーラニヤカなどの付属文献をもつ。後者は『バージャサネーイ・サンヒター』 Vājasaneyi-Saṃhitāが本集として存し,『シャタパタ・ブラーフマナ』 Śatapatha-Brāhmaṇaなどの付属文献が伝えられている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヤジュル・ベーダ」の意味・わかりやすい解説

ヤジュル・ベーダ
やじゅるべーだ
Yajur-veda

インド最古の聖典ベーダの一つ。アドバリユ祭官に属し、ベーダ祭祀(さいし)を知るうえに重要。サンヒター(本集(ほんじゅう))部分にブラーフマナ(祭儀書)を混入した「黒ヤジュル・ベーダ」と、両者が分離した「白ヤジュル・ベーダ」がある。

[松濤誠達]

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百科事典マイペディア 「ヤジュル・ベーダ」の意味・わかりやすい解説

ヤジュル・ベーダ

古代インドのバラモン教の聖典〈ベーダ〉の一つ。リグ・ベーダ,サーマ・ベーダアタルバ・ベーダとともに四ベーダをなす。祭式の準備から終結に至るまでの作法供物調製などの規定や祭詞を集成したもの。

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