ユナニミスム(英語表記)unanimisme

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ユナニミスム
unanimisme

一体主義。 20世紀初頭フランスに興った文学運動。 J.ロマンが提唱。ホイットマン,ベルハーレン,またランボー,クローデルを師と仰ぎ,集団生活をすることにより超個人的な存在の与える宗教的感情を表現し,人間の連帯と再生を目指したもの。 1906年ビルドラックデュアメル,アルコスらが「アベイ派」を結成,共同生活を始めていたが,経済的基盤であった印刷業が危機に陥ったとき,ロマンが詩集『一体的生活』 La Vie unanime (1908) を出版させて救った。以後アベイ派はユナニミスムに合流して,ともに文学活動を行なった。ロマンの大河小説『善意の人々』がその代表的作品。ほかに詩人シュヌビエールがおり,ロマンとの共著『詩作提要』 Petit traité de versification (23) を発表している。

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百科事典マイペディアの解説

ユナニミスム

unanimismeは一体主義と訳される。20世紀初頭にフランスのJ.ロマンを中心に興った文学思潮。群集の存在の中に個人を越えた一体の生命を認めようとする一種の社会的神秘主義で,作品はJ.ロマンの《善意の人びと》が代表的。

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大辞林 第三版の解説

ユナニミスム【unanimisme】

フランスの詩人・小説家ジュール=ロマンの唱えた思想。人間集団はある種の一体の魂を共有しているという考えに立ち、個人を超えた社会や時代を対象とする文学をめざした。一体主義。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ユナニミスム
ゆなにみすむ
unanimisme

一体主義と訳される。ジュール・ロマン、デュアメル、ビルドラックらに代表されるAbbaye(アベイ)派の指導理論で主唱者はロマンであるが、文学の主義や流派を形づくるものではない。ロマンはあるとき、パリの雑踏のなかで人間同士の連帯感情の高揚、一体的なものの啓示を得た。その理念に即して彼は大河小説の『善意の人々』、また『プシケ』を書いた。[榊原晃三]

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精選版 日本国語大辞典の解説

ユナニミスム

〘名〙 (unanimisme) 二〇世紀初頭、フランスに起こった文学思潮の一つ。一体主義と訳される。個人に目を向けるのではなく個人の集合である家族・群集・町村・都会などの集団の魂、その一体的な意志や精神・感情を表現しようとするもの。ジュール=ロマンの提唱に始まり、その詩集「La vie unanime (一体生活)」によってこう呼ばれるようになった。デュアメル、ビルドラックらに代表される。
※花は勁し(1937)〈岡本かの子〉「これは人類に機械的神秘性の体系を立てようとしたジュールロマンの旧いユナニミズムの精舎の姿かと」

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世界大百科事典内のユナニミスムの言及

【ロマン】より

…小説《ある男の死》(1911)を経て,三部作《プシシェPsyché》(1922‐29)に至り,夫婦間の心身の愛情の諸相を語りながら一体的生の神秘を描こうとする。〈ユナニミスムunanimisme〉と呼ばれるこの非体系的思想の,気宇壮大な表現が,全27巻の大河小説《善意の人々Les hommes de bonne volonté》(1932‐47)である。これは1908年から33年までのヨーロッパの社会を,1000人以上もの人物を登場させて立体的に描こうとした作品であった。…

※「ユナニミスム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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