ヨウ化ナトリウム(読み)ようかナトリウム(その他表記)sodium iodide

改訂新版 世界大百科事典 「ヨウ化ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

ヨウ(沃)化ナトリウム (ようかナトリウム)
sodium iodide

化学式はNaI。無水和物,2水和物NaI・2H2O,5水和物NaI・5H2Oがある。無水和物は無色立方晶系結晶塩化ナトリウム型構造,格子定数6.4728Å。比重3.667。融点651℃,沸点1300℃。気体中でのイオン対Na⁺- I⁻の原子間距離は2.7115Å。潮解性があり,水100gに対する溶解度158.7g(0℃),302g(100℃)。メチルアルコールエチルアルコールアセトン,グリセリンに溶ける。2水和物は無色単斜晶系結晶。比重2.448。熱すると64.3℃で結晶水に溶ける。水に易溶,液体アンモニアにも溶ける。ヨウ化水素酸炭酸水素ナトリウムを反応させてつくる。水溶液からは,65℃以上で無水和物が,65℃以下で2水和物が,-13.5℃以下では5水和物が得られる。去痰薬利尿薬などの医薬品に用いられるが,ヨウ化カリウムより毒性が少ない。酸素,光によって分解されるので,密栓して暗所に保存する。
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「ヨウ化ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

ヨウ化ナトリウム
ようかなとりうむ
sodium iodide

ナトリウムヨウ素化合物ヨウ化水素のナトリウム塩である。ヨウ化カリウムと同様に、ヨウ素を鉄粉に作用させて得られる八ヨウ化三鉄を炭酸ナトリウムで処理して製造される。また、ヨウ素を水酸化ナトリウムと加熱反応させて得ることもできる。無水和物は無色の潮解性の結晶。水によく溶け、エタノール(エチルアルコール)、メタノール(メチルアルコール)、アセトンなどにも溶ける。水溶液から65℃以上では無水和物が、65℃以下では二水和物が結晶する。零下13.5~31.5℃では五水和物となる。医薬品としてヨウ化カリウムと同様に用いられるが、毒性は少ない。

[鳥居泰男]


ヨウ化ナトリウム(データノート)
ようかなとりうむでーたのーと

ヨウ化ナトリウム
  NaI
 式量  149.9
 融点  651℃
 沸点  1300℃
 比重  3.667(測定温度0℃)
 結晶系 立方
 屈折率 (n) 1.7745
 溶解度 158.7g/100g(水0℃)
     43g/100g(エタノール23℃)
     73g/100g(メタノール23℃)

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

化学辞典 第2版 「ヨウ化ナトリウム」の解説

ヨウ化ナトリウム
ヨウカナトリウム
sodium iodide

NaI(149.89).炭酸ナトリウムをヨウ化水素酸に溶かし,濃縮放冷すると得られる.無水物は無色の等軸晶系結晶.融点651 ℃,沸点1304 ℃.密度3.67 g cm-3.潮解性で,水に易溶,エタノール,メタノール,アセトンに可溶.水溶液からは65 ℃ 以上では無水物が,それ以下では二水和物が析出する.二水和物は単斜晶系結晶.密度2.45 g cm-3.潮解性で,水に易溶.写真,シンチレーター(X線,γ線蛍光スクリーン),ナトリウムランプ,医薬品(利尿剤,去たん剤),除湿剤,食塩添加剤,分析試薬などに用いられる.[CAS 7681-82-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「ヨウ化ナトリウム」の意味・わかりやすい解説

ヨウ化ナトリウム
ヨウかナトリウム
sodium iodide

化学式 NaI 。無色の潮解性結晶。空気中に放置するとヨウ素が遊離するため褐色となる。比重 3.67,融点 651℃,沸点 1300℃。水溶液からは 65℃以上で無水塩,-13℃~65℃で2水塩が析出する。医薬,分析試薬として用いられるほか,タリウムで活性化した単結晶はγ線用シンチレータとして重要である。

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