立方(読み)タチカタ(英語表記)cube

翻訳|cube

デジタル大辞泉 「立方」の意味・読み・例文・類語

たち‐かた【立(ち)方】

能楽で、囃子方はやしかたに対して、シテ方ワキ方狂言方のこと。
歌舞伎・日本舞踊で、地方じかたに対して、立って舞い踊る者。

りっ‐ぽう〔‐パウ〕【立方】

同じ数・式を三度掛け合わせること。三乗さんじょう
長さの単位名の前に付けて、体積の単位をつくる語。「一立方メートル」
長さを表す単位名のあとに付けて、その長さを1辺とする立方体の体積を表す語。「一メートル立方

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精選版 日本国語大辞典 「立方」の意味・読み・例文・類語

たち‐かた【立方】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 能で、囃子方(はやしかた)に対して、シテ方・ワキ方・狂言方など、舞い演技する者の総称
  3. 日本舞踊で、伴奏者を地方(じかた)というのに対して、舞い踊る者をいう。踊り手。
    1. [初出の実例]「浄瑠璃につくらせ、たちかたは門之介と路考にて、舞台でさせるつもり」(出典:黄表紙・江戸生艷気樺焼(1785)下)
  4. 立ちあがる方法、形。特に相撲の勝負で、腰をおろした仕切りから立ちあがって組む、その立つ形。
    1. [初出の実例]「野べの秋も立かたほめんすまひ草〈重頼〉」(出典:俳諧・誹諧発句帳(1633)秋)
  5. ( 「たちがた」とも ) 身の処し方。また、その人の置かれた立場。立つ瀬。多く、打消の語を伴って用いる。
    1. [初出の実例]「それじゃアおれが身がたちかたない」(出典:洒落本・傾城買言告鳥(1800)上)

りっ‐ぽう‥パウ【立方】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ある数を三回掛け合わせること。三乗
  3. 長さを表わす単位名の前に付けて、体積の単位を作る語。
    1. [初出の実例]「茶碗の底には五立方(リッパウ)サンチメエトル位の濃い帯緑黄色の汁が落ちてゐる」(出典カズイスチカ(1911)〈森鴎外〉)
  4. 長さを表わす単位名の後に付けて、その長さを一辺とする立方体の体積を表わす語。〔改正増補和英語林集成(1886)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「立方」の意味・わかりやすい解説

立方 (りっぽう)
cube

5×5×5,x×x×x,(x+1)×(x+1)×(x+1),fx)×fx)×fx)のように,一つの数,変数,式,または関数を3回かけた積を,もとの数,変数,式,関数の立方,あるいは3乗という。立方という語は,立方体の体積が辺の3乗であることと関連して用いられている。上の5,x,(x+1),fx)の立方は,それぞれ53x3,(x+1)3fx3で表し,三角関数の場合は,sin3θ,cos3θのように表す。次の乗法公式がある。

 (ab3a3+3a2b+3ab2b3

 (ab3a3-3a2b+3ab2b3

 (ab)(a2abb2)=a3b3

 (ab)(a2abb2)=a3b3
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「立方」の意味・わかりやすい解説

立方
りっぽう

同じ数、または文字を3回掛け合わせること、また、掛け合わせた結果をいう。三乗(さんじょう)ということもある。たとえば43=4×4×4(=64)は4の立方であり、a3=a×a×aはaの立方である。

 立方は、体積を表す場合にも使われる。「立方メートル」のように長さの単位名の前につけて、体積の単位をつくる。また「2メートル立方」のように長さの単位名の後につけて、その長さを一辺とする立方体の体積を表す。

[三輪辰郎]

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百科事典マイペディア 「立方」の意味・わかりやすい解説

立方【りっぽう】

(1)同じ数または文字を3回かけ合わせること。3乗とも。(2)立方のあとに長さの単位をつけ体積の単位に使う。たとえば1m3は1辺の長さ1mの立方体の体積。(3)長さのあとに立方をつけると,その長さを1辺とする立方体の体積を表す。たとえばam立方の体積はa3m3。→立方根平方

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世界大百科事典(旧版)内の立方の言及

【地方】より

…舞踊の伴奏をする演奏者たちを指す。舞を舞う人たちを,立方(たちかた)と呼ぶのに対することば。本来は唄い手,語り手(長唄の唄方,義太夫節・常磐津節・清元節・新内節など浄瑠璃の太夫)と三味線奏者(三味線方)だけであったが,現在では唄い手・語り手と三味線方と囃子方の三つをいう。…

【立役】より

…歌舞伎の役柄の一つ。本来は地方(じかた)(音楽演奏者)に対する立方(たちかた)(演技者)の意味であったが,のちに女と子供の役を分離して,男の役だけをさすようになった。さらに役柄の分化に伴い,若衆方,敵役,道外方,親仁方(おやじがた)を切り離して,善人で思慮深い立派な男に限定された。…

【能】より

…その他,鬼退治物の《紅葉狩》《羅生門》,天狗物の《鞍馬天狗》,祝言物の《石橋(しやつきよう)》《猩々(しようじよう)》などである。
【役籍】
 能は,役に扮して舞台に立つ立方(たちかた)と,もっぱら音楽を受け持つ地謡方(じうたいかた),囃子方とで成り立つが,それぞれの中で技法がさらに分化し,室町時代末期に七つの専門が確立した。立方を勤めるシテ方,ワキ方,狂言方と,囃子方である笛方,小鼓方,大鼓方,太鼓方の7役籍がそれで,江戸時代以降,互いに他の専門を侵さない規律ができ,現在でもそれが守られている。…

【立方体】より

…正方形があってその1辺の長さがaのとき,この正方形の各点において,正方形の面に長さaの垂線をこの面の一方の側に立てたとき,これらの垂線によって描かれる立体を立方体または正六面体と呼ぶ。立方体は合同な6個の正方形で囲まれている。これらの正方形を立方体の面といい,面である正方形の頂点,辺を,立方体の頂点,辺(または稜)という。立方体の対角線すなわち同一の面上にない2頂点を結ぶ線分は4本あって,これらは同一点で交わる。…

【べき(冪∥羃)】より

…右肩の数字は,何回同じものを掛けたかを表し,これをべき指数と呼ぶ。なお,2乗のことを自乗,または平方,3乗のことを立方ともいう。
[指数法則]
 数,変数,式,または関数x,yと自然数m,nについて,次が成り立つ。…

※「立方」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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