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ラザフォード散乱 ラザフォードさんらんRutherford scattering

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ラザフォード散乱
ラザフォードさんらん
Rutherford scattering

荷電粒子が原子核との間の静電気力によって散乱される過程。散乱される割合は2つの電荷の積の2乗に比例し,粒子間の相対運動のエネルギーの2乗に反比例する。小さい角度で散乱される割合が著しく大きく,大角度散乱の割合はきわめて小さい。荷電粒子が物質層を通過するとき,そのなかの多数の原子核により多数回のラザフォード散乱を受け,その進行方向に微小なゆらぎを生じる。 1911年 E.ラザフォードはα粒子が物質層に当ると,ときに 90°以上の大角度散乱が起ることから,原子の正電荷成分が原子の中心に集中した原子核として存在することを明らかにした。このことから,この散乱をラザフォード散乱というようになった。 (→ラザフォードの原子模型 )

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デジタル大辞泉の解説

ラザフォード‐さんらん【ラザフォード散乱】

クーロン力のみよる荷電粒子弾性散乱ラザフォードの指導の下、金の薄膜にα粒子を当てる実験を行ったところ、大きく軌道を変える後方散乱が見られた。この現象から原子には正電荷の中心核原子核)が存在することが明らかになった。クーロン散乱

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法則の辞典の解説

ラザフォード散乱【Rutherford scattering】

重い原子核のクーロン場による軽い荷電粒子の散乱をいう.立体角が ω と ω+dω の間に散乱される確率は,次の散乱断面積 dσ で与えられる.

ここで θ は入射粒子が散乱される角度で,b は最近接距離である.

Ze を核の電荷,Ze を入射粒子の電荷,v を入射粒子の速度,μ を換算質量とすると,b は次のように表すことができる.

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世界大百科事典 第2版の解説

ラザフォードさんらん【ラザフォード散乱 Rutherford scattering】

電荷をもつ点状の粒子が,もう一つの荷電点状粒子の近くを通ったときに,電気力によりその道筋を曲げられる現象。その名称は,この現象を通してE.ラザフォードが原子に陽電気をもった芯(原子核)のあることを発見した事実にちなむ。1909年,H.ガイガーとE.マースデンラジウムの放射能で飛び出てくるα粒子を種々の金属板(鉛,金,鉄など8種)に当てる実験をして,一部のα粒子が後ろにはね返されてくることを発見した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ラザフォード散乱
らざふぉーどさんらん
Rutherford scattering

荷電粒子を原子核にぶつけた際に両者の間に働く電気的な力(クーロン力)だけによっておこる弾性散乱をいう。E・ラザフォードの示唆によって、1909年ガイガーとマースデンErnest Marsden(1889―1970)が、放射性物質のラジウムから放出されるα(アルファ)線を、薄い金箔(きんぱく)に当てて、金の原子によってα粒子がどんな方向にどんな割合で散乱されるか調べた。この実験によると、大半はわずかの角度しか曲げられないが、入射方向から測って90度以上も曲げられて出てくるα粒子が15度曲げられる場合の0.1%程度、すなわち少なからずあることがわかった。当時、原子の構造に関して、二つのおもな描像が対立していた。すなわち、正電荷が原子全体に広がっており、電子はスイカの種のように埋まっているとするトムソンの考えと、正電荷は原子の中心に集中しており、電子は土星の輪のように遠くを回っているとする長岡半太郎らの考えが提唱されていた。ところが実験でみいだされた大角度散乱は、α粒子が強い力で跳ね返されることを示しており、これは、正電荷のみが原子の中心に小さく集中しているとすると説明できる。E・ラザフォードはこのような考えから、電気素量のZ倍(Zはある整数)の電荷が中心核の一点に集中して存在するとき、そのクーロン力によって他の荷電粒子がどの角度にどれだけの割合で散乱されるかを理論的に計算し、散乱公式を導いた。この公式は前記の実験をよく説明し、長岡らの模型に軍配をあげただけでなく、原子の中心に位置する原子核の大きさは原子自身の5000分の1ほどの微小なものであることを明らかにした。さらに、この散乱公式は、原子核の電荷の大きさZ、すなわち陽子の数を決定するのにも役だった。ラザフォードの散乱公式はニュートンの古典力学を用いて導かれたが、量子力学を用いてもまったく同じ結果が得られる。[坂東弘治・元場俊雄]

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