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ラッコ Enhydra lutris; sea otter

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

ラッコ
Enhydra lutris; sea otter

食肉目イタチカワウソ亜科ラッコ属。体長 100~130cm,尾長 25~37cm。体重は雄 22~45kg,雌 15~32kg。出生体重は 1.4~2.3kg。頭部,喉部,胸部は灰色もしくは黄白色,それ以外は暗褐色や赤褐色,黒色など,さまざまな毛色を呈する。頭部は大きく丸みを帯びる。鼻鏡は菱形で触毛が密に生える。前肢は短く,指は分かれていない。後肢に大きな鰭(ひれ)状の蹼(みずかき)がある。乳頭数は 2個。門歯は上顎 6本,下顎 4本,犬歯は上顎と下顎に各 2本,前臼歯は上顎と下顎に各 6本,臼歯は上顎 2本,下顎 4本である。密生している毛に空気をたくわえ,海水中に体温が放出されるのを防ぐ。昼行性で夜は大型のケルプ(オニコンブなど)の中で休む。アワビ,ウニ,二枚貝,底生魚類などを好んで捕食する。前肢で巧みに餌をつかみ,幅広で平たい臼歯で殻を砕く。また石や貝を用いて貝殻を割ることがよく知られている。ケルプを食べるアワビやウニをとるので,ケルプとの共生関係にあり,ラッコの生息地では良好な海中林が形成される。繁殖期は一様でなく,アリューシャン列島では 5~6月,カリフォルニアでは 12月~2月である。妊娠期間は 6.5~9ヵ月。通常 1産 1仔であるがまれに 2仔。出生仔は明るい茶色を呈する。性成熟は雄 5~6歳,雌 4歳。千島列島,アリューシャン列島,アラスカ湾およびカリフォルニアに分布する。良質の毛皮を目的に乱獲されたが,1911年以降保護されている。カリフォルニアに生息するものはアラスカより移入されたものである。かつては北海道にも生息していたが乱獲により激減した。近年,千島列島からの迷入個体が北海道沿岸で確認されることがある。飼育下での繁殖例は多い。

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

ラッコ

イタチ科カワウソ亜科の哺乳類。北米のアラスカやロシアなどの寒冷な北太平洋の沿岸に生息している。主に毛皮を目的とした乱獲によって、20世紀初頭には絶滅寸前にまで激減したが、保護のため国際的に捕獲や取引が制限されるようになり、生息数は徐々に回復した。日本では1982年から飼育され、人気を博してきた。

(2015-05-13 朝日新聞 夕刊 1総合)

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百科事典マイペディアの解説

ラッコ

食肉目イタチ科の哺乳(ほにゅう)類。体長55〜130cm,尾13〜33cmほど。カワウソに似るが,後肢が大きく(かい)状。北千島〜アラスカ半島南方,カリフォルニア沿岸に分布。

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世界大百科事典 第2版の解説

ラッコ【sea otter】

カワウソに似るが後足に大きな水かきを備え,より水中生活に適した食肉目イタチ科カワウソ亜科の哺乳類(イラスト)。かつては北海道からサハリン,カムチャツカコマンドル諸島プリビロフ諸島アレウト列島,アラスカ南岸を経てカリフォルニア西岸までの沿海に広く分布していた。一時絶滅寸前となったが,現在ではカリフォルニアからアレウト列島付近でよく繁殖し始めている。体長100~120cm,尾長25~37cm,体重は雄で22~45kg,雌で15~32kg。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ラッコ
らっこ / 猟虎
sea otter
[学]Enhydra lutris

哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科に属する海獣。成体の頭胴長は1.2メートル、尾は0.4メートル。体重は25~40キログラム。雄は雌よりやや大きい。イタチに似た体形であるが、頭部は上下に平圧された形で、胴は長く筒形である。口辺の感覚毛は長くて目だつ。前肢は短くて小さい。指の間には水かきがあるが、器用に物をつかむことができる。後肢は大きく、水かきが発達し、遊泳器官として適応している。尾は平たく、先端はとがる。体色は黒褐色から灰褐色まで個体差が大きく、頭部ほど淡い。年をとるにつれて銀白色に変わる。綿のような下毛と、太く長い上毛からなり、一つの毛穴から1本の上毛と約70本の下毛が生える。密に生えた下毛の間の空気の層が保温の役目をする。
 ラッコは海生で、岩礁に上ることもあるが、通常は海岸の岩礁域の海の中で生活し、背中を下にして水面で休んだり、泳いだりするのが特徴的である。その際には頭と前肢を水面に出し、後肢と尾で推進したり体のバランスをとったりする。また、海藻を体に巻き付けて休むことも多い。ラッコは北太平洋の中央カリフォルニアからアラスカ、アリューシャン列島、カムチャツカ半島、千島列島、樺太(からふと)(サハリン)、北海道にかけての沿岸の水深40メートル以浅の海に生活し、回遊はしない。
 良質な毛皮の生産を目的として、18世紀から19世紀にかけて乱獲され、各地で絶滅の危機にさらされたが、1911年(明治44)から国際条約によって保護した結果、資源はしだいに回復し、1970年代には約14万頭の資源量が推定され、分布域もしだいに拡大している。最近北海道の南岸でもみかけるようになった。雌は3、4年で成熟し、繁殖周期は2年である。交尾期は10~11月が盛期で、5~6月に出産する例が多いが、1年のいつでも交尾と出産がみられる。自然死亡率は約10%であり、最長寿命は23歳と推定される。餌(えさ)は貝類、棘皮(きょくひ)動物、節足動物で、石を道具に使って貝殻を割って食べることもする。
 現在、ラッコの猟獲は全面的に禁止され、毛皮は商品となっていない。資源が回復した結果、飼育のための捕獲が緩和され、最近では日本の各地の水族館でアメリカから輸入して観覧に供している。資源が増加するにつれて、ラッコは漁業者と競合するようになった。ラッコは新陳代謝が盛んで、商品価値の高いアワビ、二枚貝、ウニなどを好んで大量に捕食して、それらの水産物を利用して生活する漁業者に不利益を与えている。[西脇昌治]

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世界大百科事典内のラッコの言及

【毛皮】より

…日本にも少数生息する。 シー・オッターsea otterラッコの毛皮。毛色は黒に近い褐色で,年をとると銀色の刺毛がまじり,じょうぶで美しい。…

【海獣】より

…基本的には陸上動物としての生活に適した哺乳類の特徴(肺呼吸,胎生など)を備えながら,水中生活に二次的に適応した動物群。水中生活への適応の程度は,種類によってさまざまで,クジラ類のように,水中生活に高度に特殊化した魚型の体型をもつものから,ラッコやホッキョクグマのように,水中生活者としての進化史が浅く,陸上動物とあまり変わらない体型をもつものまでが含まれる。生活時間の多く,あるいはすべてを水域で過ごし,食物のほとんどすべてを水域から得ているが,アシカ,アザラシのように子の水中での運動能力が十分でないことから,繁殖と育児は陸に上がって行う必要のあるものがある。…

【毛皮】より

…18世紀になって,乱獲による毛皮獣の減少から,ヤサクの減収や滞納が目だつようになると,ロシア政府はシベリアにヤサク委員会を設けて,毛皮徴取の方法などを改善整備するが,減少傾向はくい止められず,19世紀の毛皮生産はかなり後退する。クロテン,テン,カワウソの減少は著しく,とくにビーバーやラッコは完全に捕り尽くされた。しかし現在もなおロシアは世界有数の毛皮産出国であり,幾種類かの高級毛皮を国際市場に送りだしつづけている。…

※「ラッコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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