日本歴史地名大系 「ラッコ」の解説
ラッコ
らつこ
漢字表記地名「楽古」のもとになったアイヌ語に由来する地名。河川名・山名としても記録されている。また河川名「ラツコベツ」が当地をさす地名として用いられる場合もある(東行漫筆)。当地一帯は近代に入り
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
漢字表記地名「楽古」のもとになったアイヌ語に由来する地名。河川名・山名としても記録されている。また河川名「ラツコベツ」が当地をさす地名として用いられる場合もある(東行漫筆)。当地一帯は近代に入り
出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報
カワウソに似るが後足に大きな水かきを備え,より水中生活に適した食肉目イタチ科カワウソ亜科の哺乳類。かつては北海道からサハリン,カムチャツカ,コマンドル諸島,プリビロフ諸島,アレウト列島,アラスカ南岸を経てカリフォルニア西岸までの沿海に広く分布していた。一時絶滅寸前となったが,現在ではカリフォルニアからアレウト列島付近でよく繁殖し始めている。体長100~120cm,尾長25~37cm,体重は雄で22~45kg,雌で15~32kg。体は大きくがんじょうで,首,四肢,尾は短い。頭は丸く,耳介は小さくほとんど毛に隠れ,目も小さい。吻(ふん)に触毛が発達する。前足は小さく,指も短いが,左右の前足で物を巧みにつかむ。後足は平たく大きくひれ状に発達し,第1指よりも第5指のほうが長い。鰭脚(ききやく)目の海獣とは異なり,皮下には特別に厚い脂肪層はない。体毛は厚く密で水をよくはじき,赤褐色から暗褐色,ほとんど黒色まであり,頭部,のど,胸は灰色または黄白色。
海上生活によく適応し,ほとんど陸に上がらず,あお向けに海面に浮かび生活する。集団で生活し,一般に昼行性で,海中に20mほど,ときに100m近く潜り,ウニ,アワビなどの貝類,カニ,不活発なイカや魚などをとらえる。海面に浮かんで獲物を食べるが,殻の硬いものは,海底で拾った石を胸に置き,それに打ちつけて殻を割り,身を食べる。摂食量は多く,1日に体重の20~25%に達するが,それは体温を保つためと,必要な水分を得るためで,水分の23%は海水を飲むことで得られ,残りは食物より得る。夜はコンブなどを体に巻きつけて流されるのを防いで眠る。
繁殖は一年中行われるが,北部では5~6月,南部では12~2月に出産のピークがある。妊娠期間は6ヵ月半から9ヵ月で,受精卵の子宮への着床遅延があるとみられている。出産はしばしば水中で行われるようで,1産1子,まれに2子が生まれるが,2子の場合育つのは1頭のみである。子は初め母親の胸の上で育てられ,6~8ヵ月間は母親に依存して生活する。寿命は飼育下で19年の記録がある。
毛皮は最高級品のため乱獲され,1758年に発見されて以来およそ150年間にほぼ絶滅状態となり,1911年に国際条約で保護された。ようやく近年になって生息数が増加し,83年末には日本の水族館へも送られてくるようになった。
執筆者:今泉 忠明
臘虎また海獺の文字をあてる。毛皮として賞用されたため,19世紀にロシア人,中国人,日本人,アメリカ人などが北太平洋沿岸のラッコを争って捕獲したためほとんど絶滅に瀕(ひん)した。数が少ないため古来最高価の毛皮とされ,明治・大正期に〈ラッコの皮を襟巻(えりまき)にしている〉という表現が,成金紳士の形容としてよく用いられた。
執筆者:千葉 徳爾
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
哺乳(ほにゅう)綱食肉目イタチ科に属する海獣。成体の頭胴長は1.2メートル、尾は0.4メートル。体重は25~40キログラム。雄は雌よりやや大きい。イタチに似た体形であるが、頭部は上下に平圧された形で、胴は長く筒形である。口辺の感覚毛は長くて目だつ。前肢は短くて小さい。指の間には水かきがあるが、器用に物をつかむことができる。後肢は大きく、水かきが発達し、遊泳器官として適応している。尾は平たく、先端はとがる。体色は黒褐色から灰褐色まで個体差が大きく、頭部ほど淡い。年をとるにつれて銀白色に変わる。綿のような下毛と、太く長い上毛からなり、一つの毛穴から1本の上毛と約70本の下毛が生える。密に生えた下毛の間の空気の層が保温の役目をする。
ラッコは海生で、岩礁に上ることもあるが、通常は海岸の岩礁域の海の中で生活し、背中を下にして水面で休んだり、泳いだりするのが特徴的である。その際には頭と前肢を水面に出し、後肢と尾で推進したり体のバランスをとったりする。また、海藻を体に巻き付けて休むことも多い。ラッコは北太平洋の中央カリフォルニアからアラスカ、アリューシャン列島、カムチャツカ半島、千島列島、樺太(からふと)(サハリン)、北海道にかけての沿岸の水深40メートル以浅の海に生活し、回遊はしない。
良質な毛皮の生産を目的として、18世紀から19世紀にかけて乱獲され、各地で絶滅の危機にさらされたが、1911年(明治44)から国際条約によって保護した結果、資源はしだいに回復し、1970年代には約14万頭の資源量が推定され、分布域もしだいに拡大している。最近北海道の南岸でもみかけるようになった。雌は3、4年で成熟し、繁殖周期は2年である。交尾期は10~11月が盛期で、5~6月に出産する例が多いが、1年のいつでも交尾と出産がみられる。自然死亡率は約10%であり、最長寿命は23歳と推定される。餌(えさ)は貝類、棘皮(きょくひ)動物、節足動物で、石を道具に使って貝殻を割って食べることもする。
現在、ラッコの猟獲は全面的に禁止され、毛皮は商品となっていない。資源が回復した結果、飼育のための捕獲が緩和され、最近では日本の各地の水族館でアメリカから輸入して観覧に供している。資源が増加するにつれて、ラッコは漁業者と競合するようになった。ラッコは新陳代謝が盛んで、商品価値の高いアワビ、二枚貝、ウニなどを好んで大量に捕食して、それらの水産物を利用して生活する漁業者に不利益を与えている。
[西脇昌治]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…日本にも少数生息する。 シー・オッターsea otterラッコの毛皮。毛色は黒に近い褐色で,年をとると銀色の刺毛がまじり,じょうぶで美しい。…
…基本的には陸上動物としての生活に適した哺乳類の特徴(肺呼吸,胎生など)を備えながら,水中生活に二次的に適応した動物群。水中生活への適応の程度は,種類によってさまざまで,クジラ類のように,水中生活に高度に特殊化した魚型の体型をもつものから,ラッコやホッキョクグマのように,水中生活者としての進化史が浅く,陸上動物とあまり変わらない体型をもつものまでが含まれる。生活時間の多く,あるいはすべてを水域で過ごし,食物のほとんどすべてを水域から得ているが,アシカ,アザラシのように子の水中での運動能力が十分でないことから,繁殖と育児は陸に上がって行う必要のあるものがある。…
…18世紀になって,乱獲による毛皮獣の減少から,ヤサクの減収や滞納が目だつようになると,ロシア政府はシベリアにヤサク委員会を設けて,毛皮徴取の方法などを改善整備するが,減少傾向はくい止められず,19世紀の毛皮生産はかなり後退する。クロテン,テン,カワウソの減少は著しく,とくにビーバーやラッコは完全に捕り尽くされた。しかし現在もなおロシアは世界有数の毛皮産出国であり,幾種類かの高級毛皮を国際市場に送りだしつづけている。…
※「ラッコ」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...
4/12 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
4/12 デジタル大辞泉を更新
4/12 デジタル大辞泉プラスを更新
3/11 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
2/13 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新