リトルロック(その他表記)Little Rock

デジタル大辞泉 「リトルロック」の意味・読み・例文・類語

リトル‐ロック(Little Rock)

米国アーカンソー州中央部の都市。同州の州都。アーカンザス川南岸に河港がある。農産物鉱産物に恵まれた同州において集散地として発展公民権運動における黒人学生の高校編入をめぐる事件、「リトルロック危機」の舞台となった。

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改訂新版 世界大百科事典 「リトルロック」の意味・わかりやすい解説

リトル・ロック
Little Rock

アメリカ合衆国アーカンソー州中部の州都で州最大都市。人口18万4564(2005)。住宅街に咲き誇るバラのため,〈バラの都市City of Roses〉という別名がある。農産物の集散地として発展してきたが,市の周辺は全米有数の貧困地帯であり,長い間綿花栽培や各種農業が中心産業で,工業化は遅れている。住民は概して保守的で黒人に対する偏見が強く,1957年黒人生徒9人の高校入学をめぐって紛争が起こり,白人の生徒や父兄が暴徒化して黒人生徒の入学を妨害した。アイゼンハワー大統領はやむなく空挺師団を送って黒人の入学を守らせたが,州知事は州権擁護を名目に大統領と対立した。1950年代の公民権闘争を代表する事件となったが,その後の事態はかなり改善の方向に向かっている。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「リトルロック」の意味・わかりやすい解説

リトル・ロック
りとるろっく
Little Rock

アメリカ合衆国、アーカンソー州中央部の都市で、同州の州都。人口18万3133(2000)。アーカンザス川に面した河港で、同州の政治、商業、交通、文化の中心地である。周囲の農業地帯で生産される米、大豆、綿花、肉牛ブロイラーの加工、および木工、殺虫剤、肥料、繊維、金属の工業が発達しているほか、近くではボーキサイトも産する。アーカンソー準州が形成された1819年にはアーカンザス川の渡し場の集落であったが、セントルイスから南西地域へ向かう開拓道路の宿駅として発達し、21年にアーカンソー準州の州都となった。1831年に町となり、36年にアーカンソー準州が州に昇格すると同時に州都となった。公立学校における白人・黒人分離教育を違憲とした1954年の合衆国最高裁判所の判決に基づき、57年に黒人の高校入学を守るため同市に合衆国軍隊が派遣され、世界の注目を集めた。フィランダー・スミス大学、ショーター大学、アーカンソー大学リトル・ロック校の医学・薬学・法学部がある。

[菅野峰明]

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百科事典マイペディア 「リトルロック」の意味・わかりやすい解説

リトル・ロック

米国,アーカンソー州中央部の都市。州内最大都市で州都。アーカンソー川南岸の河港都市で交通の中心。綿花,米,木材などの集散地。黒人に対する人種差別が根深い土地だったが,1957年ハイ・スクールへの黒人生徒入学に反対する白人による暴動が起こり,連邦軍が出動し鎮圧にあたった事件で世界の注目を集めた。この事件は当時高まりつつあった公民権運動をよりいっそう推し進めるきっかけとなった。ダグラス・マッカーサーの生地でもある。19万3524人(2010)。
→関連項目アーカンソー[州]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「リトルロック」の意味・わかりやすい解説

リトルロック
Little Rock

アメリカ合衆国,アーカンソー州の州都。ウォシトー山地の麓,アーカンソー川の南岸にある。鉄道網の拡大により商工業が発展。石炭,石油,天然ガスのほか,ボーキサイトなどの地下資源が豊富。 1969年アーカンソー川の水路化によって河港となった。食用油,家具などの工業がある。州成立前後に建てられた議事堂で有名。州立精神病院,アーカンソー大学 (法学部) ,ロビンソン記念講堂などがある。 57~59年州政府と合衆国政府が対立を起した黒人差別廃止問題で世界の注目を集め,連邦軍が投入されて,州政府は人種隔離政策を放棄させられた。人口 19万3524(2010)。

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世界大百科事典(旧版)内のリトルロックの言及

【アーカンソー[州]】より

…面積13万7539km2,人口251万(1996)。州都および最大都市はリトル・ロック。州名はスー・インディアン系統のクワポー族の名称(〈下流の人々〉の意)に由来する。…

※「リトルロック」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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