リール(フランス)(読み)りーる(英語表記)Lille

翻訳|Lille

日本大百科全書(ニッポニカ) 「リール(フランス)」の意味・わかりやすい解説

リール(フランス)
りーる
Lille

フランス北部、ノール県の県都で工業都市。パリ北方218キロメートル、ドゥー川に沿う平野にあり、ベルギー国境に近い。人口18万4657(1999)、23万2741(2015センサス)。北東に隣接するルーベートゥールコアン、その他約50の自治体とともに大都市圏を形成する。フランドル工業地帯の中央に位置し、この地方の政治、経済、文化の中心地。1967年北部高速道路が開通し、パリと直結した。道路、鉄道、水路、航空路における交通上の要衝であり、ヨーロッパ共同市場に対しても重要な位置を占める。12世紀以来ラシャ製造の大中心地で、のち木綿工業も盛んになり、今日でも繊維をはじめ機械、鉄鋼、化学などの工業が盛んである。旧市内には旧証券取引所(17世紀)をはじめとする歴史的建造物が多くみられ、16~19世紀のフランス絵画などを収蔵する美術館もある。大学があり、司教座が置かれている。

 ローマ時代にはドゥー川湾曲部の島状地を意味するインスラInsula(島)の名でよばれ、フランス語の「島」、すなわちリールl'îleが市名となった。中世にはフランドルの中心都市。1667年のフランス王国併合以前は、フランドル伯領、ブルゴーニュ公領、オーストリア領、スペイン領と変遷した。フランス併合の際、軍事技術家ボーバンが現存の星型の城塞(じょうさい)を築いた。1792年にはオーストリアの包囲戦に耐えた。第一次、第二次両世界大戦中はドイツ軍に占領された。ドゴール元大統領の生地である。

[高橋伸夫]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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