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ローマ理念 ローマりねん

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世界大百科事典 第2版の解説

ローマりねん【ローマ理念】

ローマ帝国の母体である都市ローマを抽象化し,ローマの名に普遍的支配や永遠性,文明と秩序の象徴をみる思想。
ローマ理念の形成]
 ローマ理念の起源はローマ共和政末期にまでさかのぼる。すでに前2世紀,ローマの版図下に入った諸地方で,都市ローマを神格化した女神ローマRomaの礼拝が始まった。一方,ローマの支配の拡大と共和政末期の混乱は,ローマ人自身の間に没落観を生み出していた。それゆえいっそう,その混乱を終結させて元首政を樹立したアウグストゥスは秩序の再興者として称揚され,このアウグストゥス治下でローマ理念は最初の高揚期を迎えるのである。

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All Rights Reserved. Copyright (C) 2015, Hitachi Solutions Create,Ltd. 収録データは1998年10月に編集製作されたものです。それぞれの用語は執筆時点での最新のもので、常に最新の内容であることを保証するものではありません。また、本文中の図・表・イラストはご提供しておりません。

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

ローマ理念
ろーまりねん
Idea of Rome英語
Romideeドイツ語

古代ローマ帝国の「ローマ」の名に、普遍的・恒久的な支配や文明・秩序を象徴させる思想。その最初の高揚期はローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの治下で、リウィウスウェルギリウスホラティウスなどの歴史家や詩人が、いまや世界の女王となった都市ローマの永遠性をうたった。ローマの支配を平和と幸福と法を世界にもたらすものとして正当化するこの時期のローマ理念は、なお都市ローマと密着した民族主義的、帝国主義的なものであったが、「ローマの平和」(パックス・ロマーナ)下でギリシアの文人アリステイデスは、ローマの支配の受益者層の立場からその支配をたたえ、ローマの名を普遍的文明世界の象徴とする。都市ローマが現実の帝都ではなくなってからも、こうして普遍化されたローマ理念は生き続け、ゲルマン民族侵入の危機の時代に、ゲルマンの「野蛮」に対する文明の象徴ローマが想起され、さらに、危機ゆえにいっそうその永遠性への信仰が再高揚した。国教化されたキリスト教の側でも、プルデンティウスが聖使徒ペテロとパウロに守られた新聖都ローマの永遠性をうたい、4世紀初頭に司教エウセビオスが説いたキリスト教的ローマ帝国理念を完成させた。410年の西ゴート人によるローマ市の略奪は、ローマの永遠性を信じる人々を動揺させたが、伝統的ローマ理念は帝国末期の文人たちの著作になお鮮明に認められる。西ローマ帝国滅亡(476)後も、この理念は、「第二のローマ」すなわちコンスタンティノープルに、そしてその滅亡後は、「第三のローマ」としてのモスクワ大公国へと受け継がれていく。一方、中世西欧世界におけるカール大帝の西ローマ帝国復興や神聖ローマ帝国の建国も、ローマ理念の具現化であった。近代では、ローマ教皇から帝冠を受けカール大帝の後継者を自認したナポレオンにローマ理念の影響が認められる。[後藤篤子]
『弓削達著『世界の歴史3 永遠のローマ』(1976・講談社) ▽後藤篤子著『西ローマ帝国の没落とローマ理念』(弓削達編『新書西洋史2 地中海世界』所収・1979・有斐閣)』

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世界大百科事典内のローマ理念の言及

【オロシウス】より

…この書はエウセビオスの編年法に従い,リウィウス,ユスティヌス,エウトロピウスなど異教側史料にも依拠して,天地創造から417年までの歴史を扱い,その執筆目的ゆえに異教時代の災厄を強調する反面,キリスト教時代の災禍は軽視してキリスト教的進歩史観を示しており,中世に広く読まれた。またその記述は,ローマの征服と支配を断罪して属州民的郷土愛をうかがわせる一方で,征服の結果たるローマ帝国の成立とキリスト生誕の同時性を強調し,エウセビオス以来のキリスト教的ローマ理念をなお強く反映するなど矛盾も多い。ゲルマンに蚕食される西ローマ帝国にあってなお〈永遠のローマ〉への信仰から脱却しきれない,当時の知識人層の葛藤を示す一例とも言えよう。…

【西ローマ帝国】より

…だが西方でも,文明世界の代表にして偉大なるローマの理念は,とくにラテン的教養とカトリックを〈帝国〉なき後のローマ的世界の紐帯(ちゆうたい)とする貴族層を母体に受け継がれていた。フランク王カール大帝の戴冠(800)による西ローマ帝国の復興は,東方世界とは異なる独自の世界を形成しつつあった西方世界による,このローマ理念の具象化であった。ローマ【後藤 篤子】。…

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