一物(読み)イチブツ

デジタル大辞泉の解説

いち‐ぶつ【一物】

一つのもの。また、同じもの。

いち‐もつ【一物】

一つの品物。また、ほんの少しのもの。
心中に秘めたたくらみや、わだかまり。「胸に一物がある」
金銭のこと。
男根のこと。

ひと‐もの【一物】

[副]いっぱい。一面に。
「内供が顔にも、童の顔にも、粥(かゆ)とばしりて―かかりぬ」〈宇治拾遺・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

大辞林 第三版の解説

いちぶつ【一物】

一つの物。

いちもつ【一物】

一つの物。わずかの物。
露骨に口に出すことがはばかられる時、代わりに使う語。 「腹に-(=タクラミ)ある男」 「かの-(=金品)をとりこみける/黄表紙・高慢斎行脚日記」
「陰茎」をいう隠語。

ひともの【一物】

( 副 )
いっぱい。たくさん。一面に。 「大きなる壺のありけるに、水を-入れて/今昔 28

出典 三省堂大辞林 第三版について 情報

精選版 日本国語大辞典の解説

いち‐もつ【一物】

〘名〙
一つのもの。一つの品物。また、ほんの少しのもの。いちぶつ。
本朝無題詩(1162‐64頃)二・探一得簟〈菅原在良〉「一物分題雖簟、微涼暗至豈相親」
窮死(1907)〈国木田独歩〉「運転手も乗客も皆な身を乗出して薦の被(か)けてある一物(モツ)を見た」
② 心の中に秘められたたくらみやわだかまり。内面に隠された思慮や分別。
浮世草子世間胸算用(1692)四「何ぞいちもつなふては富貴には成がたきに」
金銭陰茎などをそれとなくさしていう語。
※評判記・秘伝書(1655頃)夜るのをしへの事「ひゃうしぬけに。あけばあげ。つかばさげ。かやうにせねばいちもつ。そこぬるものなり」

ひとつ‐もの【一物】

〘名〙
① 同じもの。かわらないもの。同類。
※源氏(1001‐14頃)藤裏葉「見奉るにも涙のみとどまらぬは、ひとつものとぞ見えざりける」
② 一つのもの。一つしかないもの。
※俳諧・望一後千句(1652)七「万代のむかしも月やひとつ物 天の戸口の秋のすゑずゑ」
③ 女房詞。フナなどの魚をまるごと料理したもの。
※御湯殿上日記‐文明一七年(1485)二月七日「あつきそろそろ一物にて御さか月まいり」
④ 祭礼で神霊をかたどって渡御に参加する童子。白衣白袴に山鳥の羽根をつけ、馬に乗るものが多い。京都宇治市の宇治離宮明神還幸式、長野県千曲市屋代の須々岐水神社の祭など類例が多い。
※平家(13C前)一「百番の芝田楽、百番のひとつもの」

ひと‐もの【一物】

〘副〙 その中、その場所に物がたくさんあるさまを表わす語。いっぱい。一面に。ひたもの。
今昔(1120頃か)二八「大きなる壺の有けるに、水を一物入れて」
※宇治拾遺(1221頃)二「粥とばしりてひと物かかりぬ」

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