工作物を挟んで固定する装置。バイスviceともいう。板を曲げたり、やすりがけをしたりするときに、作業台に取り付けた万力の口金に挟んで作業をする手作業用として、広く使用されている。また工作機械のテーブルに取り付け、機械加工をする材料を固定するのにも用いられる。口金の開閉は、万力についているハンドルでねじを回して行い、口金により工作物を締め付けて固定する。作業台に取り付けて使用する底の平らなものは横万力(箱万力)とよばれる。また下方に長い脚があり、これを作業台の側面に取り付けるものを立て万力といい、小さい部品を手軽に取り付ける小形の万力を手万力という。工作機械で機械加工をするとき、工作物を直接テーブルに固定しないで、万力を機械のテーブルに固定し、これに工作物を固定したほうが、一般的に作業性がよい。この時に用いられる万力をマシンバイスとよび、フライス盤用、平削り盤用などがある。量産用に使われる万力では、口金の開閉は、ハンドルで行わず油圧あるいは圧縮空気を使用して自動的に行われる。
[中山秀太郎]
バイスともいう。本体の固定口金と,ねじ作用で開閉する可動体の口金との間に,工作物をはさんで固定する作業工具。作業台に取り付けて使うものに,締付力の大きい横万力,大型工作物や鍛造物などの強力作業用の立万力,小物用の取付万力(ベンチバイス)などがある。横万力は,ふつうに万力と呼ばれているもので,角胴形と丸胴形があり,大きさは口金の幅(mm)で呼び,75から25とびに150まである。このほか,作業台に取り付けずに使う手万力,工作物をほかのなにかに固定するために使うしゃこ万力,配管工事のパイプ加工用のパイプ万力などがある。また,工作機械のテーブル上に取り付けて工作物を固定する万力をマシンバイスと呼び,フライス盤用,ボール盤用,立削盤用,平削盤用など種々あり,いずれも口金や底の平面,直角,平行の精度が横万力などよりきびしく製作されている。フライス盤用のミリングバイスには,目盛付き回転台付きのものもある。なお,ろくろや釘抜き,もみをこなすための農具なども万力と呼ばれる。
執筆者:笹谷 重康
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