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雅楽に用いる両面太鼓。三鼓とも書く。奈良時代に伝わった壱鼓(いっこ)、二鼓(にこ)、三鼓(さんこ)を総じて「古楽鼓」というが、三ノ鼓はこのうち最大で、平安末期より右方高麗楽(うほうこまがく)に用いられている。長さ45センチメートル、口径19センチメートルほどの砂時計形の胴の両側に直径約42センチメートルの皮を張り、「調緒(しらべお)」と称する麻製の紐(ひも)で締める。演奏に際しては直接床の上に真横に置き、左手で調緒を握って固定し、右手の桴(ばち)で打つ。合奏では唐楽(とうがく)の鞨鼓(かっこ)と同じく、全体のテンポを主導する指揮の役割を果たすが、奏法は「テン」とよばれる弱く短めの音と「テーエン」とよばれる強く長めの音の2種類のみで、鞨鼓のような連打はない。音色も鞨鼓に比べるとややにぶめである。高麗楽の基本的な拍子である高麗四拍子(こまよひょうし)、揚拍子(あげびょうし)、唐拍子(からびょうし)の三つは、この2種の打音による単純なリズム型で表される。
[橋本曜子]
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[歴史]
鼓はインドで発生したらしい。中国に伝わって細腰鼓(さいようこ)と総称され,胴の材に木・銅・土を用い,隋・唐代には腰鼓(ようこ),都曇鼓,毛員鼓(もういんこ),一鼓(いつこ)(壱鼓),二鼓,三鼓(三ノ鼓(さんのつづみ)),四鼓,杖鼓(じようこ)等があったが,宋代以後衰えた。杖鼓は杖(桴(ばち))で打つ鼓で,革面の片方が子牛皮,もう一方がヤギ皮というように異種を用いた。…
…同類のものに都曇鼓(とどんこ),毛員鼓(もういんこ),正鼓,和鼓,一(壱)鼓,二鼓,三鼓,四鼓などがある。三鼓は日本の雅楽で用いられる三ノ鼓(さんのつづみ)で,二鼓は正倉院蔵の陶製の鼓胴がこれにあたるとされる。胴は唐代中国に瓦製(磁製,陶製)のものも木製のものもあった。…
※「三の鼓」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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